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緑茶が認知症を予防する可能性示す調査

2014.05.16

 緑茶の効能は数多くの調査でさまざまに指摘されてきた。緑茶を飲む習慣には、高齢者が認知症になるのを予防する効果がある可能性を、金沢大学医薬保健研究域医学系の山田正仁(やまだ まさひと)教授(神経内科)と篠原もえ子助教らが住民の追跡調査で新たに見つけ、5月14日付の米オンライン科学誌プロスワンで発表した。

 人口の超高齢化に伴って認知症は急増しており、その予防は差し迫った課題である。研究グループは認知症の早期発見、予防法を探るため、石川県七尾市中島町に住む60歳以上の住民を対象に2007、08年に、緑茶、コーヒー、紅茶を飲む頻度の質問、認知機能検査、採血検査を行った。認知機能が正常だった健常者723人について2011〜13年に追跡調査した。

 追跡調査に参加した490人に関して、研究を始めたころの飲み物摂取習慣と認知機能低下の関係を解析した。平均追跡期間4.9年の間に、490人のうち26人(5%)が認知症になり、64人(13%)が軽度の認知障害になっていた。認知機能が低下したリスクは、緑茶を全く飲まない人たちに比べて、緑茶を週に1〜6回飲む人で2分の1に、毎日飲む人では3分の1まで減っていた。コーヒーや紅茶を飲む人では、認知機能との関連は見いだせなかった。

 山田正仁教授は「緑茶を飲む習慣が認知症を予防する可能性はある。健常者を5年間追跡した結果なので、信頼性が高い結果だと思う。全国計5地域の調査が連携して、緑茶と認知機能低下予防の関連を詳しく調べたい。緑茶に含まれるポリフェノールやカテキンなどに効果があれば、安全な認知症予防法にもつながる」と話している。

健常者の緑茶・コーヒー・紅茶摂取頻度と約5年後の認知機能低下(認知症か軽度認知障害発症)のリスク
グラフ. 健常者の緑茶・コーヒー・紅茶摂取頻度と約5年後の認知機能低下(認知症か軽度認知障害発症)のリスク
(山田正仁金沢大教授らの地域住民調査結果による)

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