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DNAの新しいハサミを開発

2014.03.24

 遺伝子組み換えはDNAの「切ったはった」だ。それにはハサミとノリは欠かせない。そのDNAの新しいハサミを、理化学研究所(理研)生命システム研究センターの上田泰己(うえだ ひろき)グループディレクター、池田修司(いけだ しゅうじ)研究員(当時)、田井中一貴(たいなか かずき)東京大学講師、松本桂彦(まつもと かつひこ)特別研究員らが開発した。DNAへの非天然型の塩基、5-エチニルウラシル(EU)を使った新しい切断方法で、DNAの連結も簡単にできることを確かめた。遺伝子工学の発展に役立つ新技術として注目される。3月19日付の米オンライン科学誌プロスワンに発表した。

 遺伝子組み換え技術は、薬の製造や新品種づくりなどに幅広く使われ、現代産業の基盤の一つにもなっている。DNAを切るハサミと、くっつけるノリの役割をする酵素が1970年代に見つかって開発されてきた。さまざまな方法があるが、使えるハサミが限られて、複雑で面倒な操作が必要になるなど、使い勝手がまだ悪く、改良の余地は残されている。

 松本桂彦さんは「メチルアミンは安価な試薬なので、簡単に使える。どの塩基配列にも応用できる普遍性が、この新しいハサミの特長だ。ただ、DNAが長いと、反応時間がかかるなど課題もある。このQBIC反応をさらに磨いて洗練させ、普及を目指したい」と話している。

DNAを構成する塩基のチミンと非天然型の5-エチニルウラシル(EU)
図1. DNAを構成する塩基のチミンと非天然型の5-エチニルウラシル(EU)
EUを含むDNAのメチルアミンによる切断反応
図2. EUを含むDNAのメチルアミンによる切断反応
開発したQBIC反応を応用したDNAの連結
図3. 開発したQBIC反応を応用したDNAの連結

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