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サンゴ化石で津波再来推定

2013.08.13

 日本の西端域に位置する南琉球列島(宮古・八重山列島)では、過去2400年間に約150-400年の間隔で大津波が襲来したとみられることが、海岸に打ち上げられたサンゴ化石を調査した東京大学大学院新領域創成科学研究科の大学院生、荒岡大輔さんや東京大学大気海洋研究所の横山祐典准教授、川幡穂高教授、東北大学災害科学国際研究所の後藤和久准教授らの共同研究で分かった。

 南琉球列島の島々の海岸では、以前から「津波石」と呼ばれる、津波で打ち上げられたサンゴ化石の岩が多数見つかっている。高波で運ばれた岩には他に「台風石」もあるが、台風石は波打ち際の近くに範囲が限られ、津波石はそれよりもかなり陸側に分布していることで区別される。

 研究グループは、同じサンゴ由来の津波石のうちでも、高波で打ちあがった際に表面の成長が止まるハマサンゴの津波石に着目し、炭素の放射性同位体を利用した年代測定を行った。南琉球列島の宮古島と来間島、下地島、多良間島、水納島、石垣島の6島から計100個以上の“ハマサンゴ津波石”を採取し、分布密度を解析した結果、西暦1771年と1625年、さらに1400年ごろ…というように、過去2400年間に約150年から400年までの間隔で8回以上の津波が発生していることが分かった。

 1771年の津波は、石垣島東岸にある「バリ石」と呼ばれる直径9メートルほどの津波石の分析で判明したもので、古文書に記載されている「明和津波」とみられる。明和津波は1771年(明和8年)旧暦3月10日に発生した「八重山地震」(推定マグニチュード7.4-8.0)に伴うもので、津波の波高は最大約30メートルに達し、島民ら1,200人以上が犠牲になったという。1625年(寛永2年)およびそれ以前の津波については不明だ。

 今回の研究により、南琉球列島地域における大よその津波の再来周期が見積もられた。将来の津波災害予測や防災計画などに有益な情報を提供するものだという。研究論文“Tsunami recurrence revealed by Porites coral boulders in the southern Ryukyu Islands, Japan”は米国地質学会誌『Geology』に掲載された。

上は石垣島東海岸の津波石群。 下は「バリ石」と呼ばれるハマサンゴの津波石(提供:東京大学大気海洋研究所)
上は石垣島東海岸の津波石群。 下は「バリ石」と呼ばれるハマサンゴの津波石(提供:東京大学大気海洋研究所)

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