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〈トピックス〉サクラの酵母で作った赤い日本酒

2013.05.02

13奈良の八重桜-クリスタル・チェリー
(提供:奈良女子大学)

 奈良女子大学研究院自然科学系の岩口伸一准教授と地元奈良市の清酒メーカーは、ナラノヤエザクラから分離した花酵母をもとに新しい酵母を開発し、赤い純米酒「奈良の八重桜-クリスタル・チェリー」の商品化に成功したと発表した。

 同大学と酒造会社「今西清兵衛商店」、奈良県工業技術センターなどが「奈良八重桜PJ(プロジェクト)」として2006年から取り組んでいた産官学連携事業で、08年に奈良公園内のナラノヤエザクラ(のべ50本)から約560個の花を採取して野生酵母27株を分離し、アルコール発酵に最適な新酵母(「ナラノヤエザクラ酵母」と命名)を発見した。これをもとに清酒「奈良の八重桜」をつくり、09年5月1日の同大学創立100周年記念日に発売した。

 その後さらに、色鮮やかな赤色の清酒づくりを目指して、赤い色素を生産する酵母の開発に取り組んだ。ナラノヤエザクラ酵母に人為的に突然変異を起こさせる作業を繰り返した結果、昨年晩夏にその酵母の開発に成功した。

 新酵母による赤い純米酒は今年3月上旬から醸造が行われ、4月12日に新酒900本が完成した。アルコール度数は10%とやや低く、酸味と甘味が強く、フルティーな味わい。試飲した女子学生からは「飲みやすく、おいしい」と好評だという。

 「奈良の八重桜-クリスタル・チェリー」(1本300ミリリットル入り750円〈税別〉)は、5月1日から今西清兵衛商店で550本を販売している。さらに5月29日から7日間、東京の新宿高島屋で開催される「『大学は美味(おい)しい!! 』フェア」で350本販売する予定だ。

 今回の研究内容については、奈良女子大学「記念館(旧奈良女子高等師範学校本館)春の一般公開」(5月5日まで)の 特別展示「奈良女子大学における最近の研究」でも紹介している。

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