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「化学遺産」に幻の元素“ニッポニウム”資料など

2013.03.18

 日本化学会は、化学に関する貴重な史料として認定する「化学遺産」に、幻の元素“ニッポニウム”(原子番号75 ・レニウム)を発見した東北帝国大学(現東北大学)第4代総長の小川正孝(1865- 1930年)の研究資料、日本最初の女性化学者でお茶の水女子大学名誉教授の黒田チカ(1884- 1968年)の天然色素の研究資料など5件を認定した。24日午後1時半から、立命館大学びわこ・くさつキャンパス「コラーニングハウス」で、これら5件の詳しい内容を紹介する。

 他の3件は、昭和初期の国産技術によるアンモニア合成法(東工試法)の開発と工業化に関する、当時の東京工業試験所(東工試、現・産業技術総合研究所)の関連資料▽石炭液化技術(フィッシャー・トロプシュ法)による人造石油製造に関わる資料▽日本における電解工業の発祥として、マッチや花火などの酸化剤原料となる塩素酸カリウムの電解製造に関する資料。

 「化学遺産」の認定事業は、同学会「化学遺産委員会」が2010年度から始めた。今回が第4回目。これまでに計17件が認定されている。

  • 第1回認定=蘭学者、宇田川榕菴(1798-1846年)の化学関係資料▽上中啓三(1876-1960年)のアドレナリン実験ノート▽池田菊苗(1864-1936年)が最初に昆布から抽出した「具留多味(グルタミン)酸」試料▽ルブラン法炭酸ソーダ製造装置塩酸吸収塔▽ビスコース法レーヨン工業の発祥を示す資料▽カザレー式アンモニア合成装置と関連資料
  • 第2回認定=日本最初の化学講義録「朋百舎密書(ポンペ化学書)」▽川本幸民(1810- 71年)の化学関係資料▽日本のセルロイド工業の発祥を示す建物と資料▽日本の板ガラス工業の発祥を示す資料
  • 第3回認定=真嶋利行(1874-1962年)のウルシオール研究関連資料▽田丸節郎(1879-1944年)の資料(写真、書簡類)▽鈴木梅太郎(1874-1943年)のビタミンB1発見関係資料▽日本の合成染料工業発祥に関するベンゼンの精製装置▽日本初期の塩化ビニル樹脂成形加工品▽日本のビニロン工業の発祥を示す資料▽日本のセメント産業の発祥を示す資料

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