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ブンチョウはヒトの音声ニュアンスを聞き分ける

2012.10.23

 訓練するとヒトの言葉をしゃべるようになるブンチョウ(文鳥)は、ヒトの言葉そのものだけでなく、音声の微妙な違いまでも聞き分けることが、慶應義塾大学文学部の渡辺茂教授らの研究で分かった。

 渡辺教授らは、ブンチョウが、ヒトの音声の抑揚や音調などといった韻律的特徴(プロソディ)を聞き分けられるかどうかを実験した。ブンチョウを、「そうですか!」という“賞賛”のプロソディの発話を聞いた時だけ、別の止まり木に飛び移るとエサがもらえるように訓練したグループ、同様に、「そうですかぁ?」という“疑念”のプロソディの発話を聞いた時だけエサをもらえるように訓練したグループに分けた。

 「あなたですか!」(賞賛)と「あなたですか?」(疑念)という、それぞれ違ったプロソディの発話を聞かせたところ、“賞賛”で訓練のブンチョウは「あなたですか!」に反応し、“疑念”で訓練したものは「あなたですか?」に反応してエサをもらった。プロソディが前半と後半で異なる言葉をつなぎ合わせて聞かせたところ、ブンチョウは前半のプロソディを使って聞き分けていたという。

 同大学の研究グループはこれまで、ブンチョウなどの鳴禽(めいきん)が音楽や協和音と不協和音、中国語と英語を聞き分けることなどを報告してきた。今回の研究結果は、ブンチョウが“賞賛”のプロソディと“疑念”のプロソディをそれぞれ別のカテゴリーの聴覚刺激として聞き分けられることを示したもので、「人間以外の動物が人間の言語のプロソディの違いを区別することを示した初めての研究だ」としている。

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