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半年で552件の「標的型メール」攻撃

2012.08.24

 不正プログラム(コンピューター・ウイルス)を仕込んだ添付ファイルを送り付け、これを開封させることで外部ネットワークに強制的に接続し、機密情報などを盗み出す「標的型メール」によるサイバー攻撃が、今年上半期(1-6月)に国内企業や政府機関、自治体などで552件発生していたことが分かった。90%近くが中国やタイなどの海外経由の攻撃だった。こうした攻撃による被害防止のため、警察庁は23日、セキュリティー監視サービスなどを提供する企業10社と「サイバーインテリジェンス対策のための不正通信防止協議会」を立ち上げた。

 警察庁によると、標的型メールによる攻撃は、不正アクセス禁止法違反やウイルス供用罪などに該当する。実態把握を始めた昨年4月から9月までは、計891件の攻撃が確認された。そうした実態の発覚後、同年10-12月は161件と減少したが、今年1-3月は225件、4-6月は327件と増加した。今年上半期の552件についてみると、仕込まれた不正プログラムの強制接続先は36%が中国、11%が日本、9%がタイ、5%が香港、4%がフランス、3%が米国、1%がイタリアなどのサーバーだった。

 こうしたサイバー攻撃対策として、警察庁は官民連携を強化している。昨年夏には「サイバーインテリジェンス情報共有ネットワーク」を設立し、全国約4,800の事業者と情報を共有しているほか、今年3月からは内閣官房とも連携し、政府機関へのサイバー攻撃情報の提供も始めた。今回立ち上げた「不正通信防止協議会」では、加盟各社が被害情報や強制接続先などの情報を共有化し、顧客のセキュリティー強化に活用するという。

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