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植物の陸上進化に関わる遺伝子を発見

2012.08.23

 自然科学研究機構 基礎生物学研究所の長谷部光泰教授らの研究グループは、植物が茎葉(けいよう)を作るために必要となる遺伝子をコケ植物の仲間から発見した。植物の進化に関する研究の進展が期待されるという。

 地球上の植物は海で生まれ、その後、陸上で生活できるように進化したという。陸上化するには茎や葉をうまく作ることが必要で、研究グループは、コケ植物の蘚(せん)類の仲間「ヒメツリガネゴケ」から茎葉の形成に係るAPB遺伝子を発見した。蘚類は植物が陸上化した初期に他の植物から別れた群で、ヒメツリガネゴケは水中での生活に適した糸状の体(原糸体)と、陸上に適した茎葉体を作る。ところが、この多くの遺伝子を制御する役割をもつAPB遺伝子が働かないようにすると、ヒメツリガネゴケには茎葉体ができず、原糸体だけしか作れなかったという。

 APB遺伝子の進化が、茎葉を作る最初の段階で重要だった可能性が高く、植物の茎葉進化の起源を探る糸口になると期待される。研究成果は英国の発生学専門誌「ディベロプメント(Development)」(オンライン版)に掲載された。

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