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福島原発事故対応で文部科学省が“自己検証”

2012.07.30

 文部科学省は27日、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故に関する対応について自己検証した「東日本大震災からの復旧・復興に関する文部科学 省の取り組みについての検証結果のまとめ」(第二次報告書)を公表した。「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」(SPEEDI、スピーディ) の活用については、「計算結果を(住民)避難などの指示内容の検討に活用するよう、関係機関に踏み込んで助言することまではしていなかった」と反省し、省 内外や省内の組織内、組織間のコミュニケーションにも「不十分な面や、円滑でなかった面があった」と認めた。

 同省は昨年10月、城井崇・文科政務官を座長とする検証チームを省内に作り、同12月に第一次報告書(中間報告書)を取りまとめた。その中で指摘された課 題を踏まえて、今回の第二次報告書(最終報告書、97ページ)の第1部で「SPEEDIの計算結果の活用・公表」(第1章)、「環境放射線モニタリング情 報の収集・分析・公表」(第2章)、「学校の校舎・校庭などの利用に係る取組」(第3章)、「学校給食の安全・安心の確保に向けた取組」(第4章)、「学 校が避難所となった際の対応の在り方」(第5章)について検証結果を述べている。

 このうち、SPEEDIの計算結果について、「原発からの放射性物質の放出源情報がない中では、どの程度の信頼感をもって提供できたかは疑問がある」とし ながらも、「住民に情報を提供する意味がなかったのかについては、否定することまではできない」と述べ、「事故発生直後にSPEEDI計算結果を扱える立 場の文部科学省としては、SPEEDIの機能の説明などを含む計算結果の適切な公表に関わる注意喚起など、関係機関に何らかの助言を行うことを検討すべき であった」とした。

 また、学校の校庭の放射線量について、文科省が事故後の昨年4月19日に、国際放射線防護委員会(ICRP)の基準を基に年間20ミリシーベルト(1日8 時間校庭にいたとして1時間当たり3.8マイクロシーベルトの空間線量率)以下に制限する「暫定的考え方」を公表し、学校に通知したが、保護者から「児童 生徒には高すぎる」との批判が上がった。報告書では「年間20ミリシーベルトを児童生徒の許容限度と定めたかのような誤解を招く結果となったことは反省す べきだ」と指摘し、「保護者の立場に立って、その不安に真摯(しんし)に応える姿勢が十分ではなかった」と反省している。

 第二次報告書(最終報告書)の第2部第1章では、第一次報告書に掲載の「緊急時対応体制に関する10の提言」についての基本的な考え方や具体的な取り組み を述べ、第2章では「緊急時対応体制」、大学病院や教育施設などの「被災地・被災者への緊急支援」、「学校における教育活動などへの支援」、「教育施設の 復旧・復興への支援」、「科学技術分野の支援」、「文化・スポーツ分野の支援」、学校での線量低減など「原子力災害への対応」における108項目の課題を 挙げ、それぞれの取り組み内容や時期などについて表記している。

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