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原始細胞の分裂“再現”した実験成果

掲載日:2012年4月4日

人工細胞モデルの研究を進めている四方哲也・大阪大学大学院情報科学研究科教授らが、細胞膜内に高分子が存在するだけで原始的な細胞モデルが自発的に分裂することを実験で確かめた。

原始細胞から高度な生物に至る進化は、細胞が増殖し進化することで高度で複雑な機構を持つようになったためと考えられている。しかし、高度な分裂制御機構を持たない原始細胞がなぜ分裂できたかが、大きな謎の1つだ。

四方教授らが用いた原始細胞モデルは、リン脂質から成る“細胞膜”を持つ簡単な小胞体。小胞内に何もない時は、複数の小胞を融合させても何事も起こらない。しかし、複数の小胞内部に濃度3%のポリエチレングリコール(高分子)を入れて融合させると、しばらくして小胞が変形し、くびれが生じて分裂することが観察された。

分裂は、内部の高分子が動ける空間をできるだけ広げようとする物理的効果(エントロピー増大の法則)によって起き、細胞モデルに用いられた分子の化学的性質には関係しないところがポイントだ。

複数の小胞を融合させるには電気パルスをあてる方法がとられたが、原始細胞があった当時の地球環境は放電現象がよく起きていたから、特別な条件を与えたとは考えにくい。今回の研究成果について四方教授らは、原始細胞がどのように増殖し得たかという、これまで多くの研究者が挑んできた謎に対する1つの可能性を示すものだ、と言っている。

この研究は、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業ERATO型研究「四方動的微小反応場プロジェクト」(研究総括:四方 哲也 教授)と共同で行われた。

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