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衛星観測技術を応用し放射性物質の汚染分布を可視化するカメラ開発

2012.03.30

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は29日、次期エックス線天文衛星「ASTRO-H」に搭載予定のガンマ線観測センサーの技術を応用し、福島第一原発事故で放出された放射性物質の分布を可視化する新しい装置の製作に成功したと発表した。住宅や道路などの生活環境での放射性物質の蓄積分布の把握や除染作業の効率化などに役立つと期待される。

 新装置「超広角コンプトンカメラ」は、すでに同事故現場などで使われている従来型のガンマ線カメラよりも超広角度(ほぼ180度)で、高精度・高感度の画像を撮影できる。セシウム137やセシウム134などのガンマ線量の高-低分布を赤・黄・青などの6色で表示する。

 今年2月11日に日本原子力研究開発機構(JAEA)や東京電力と共同で、福島県飯館村の計画的避難区域で行った試験では、建物周辺や道路わきの側溝などのホットスポットの分布も捉えることができ、性能が確認できたという。

 次期エックス線天文衛星「ASTRO-H」は2014年に打ち上げ予定で、超新星爆発などで生じるガンマ線を観測する装置を搭載する。東京電力から相談を受けたJAXAの宇宙科学研究所が中心となり「広角コンプトンカメラ」を急きょ製作した。今後はJAEAなどと、放射性物質の除染作業のためのカメラの実用化に向けて検討を進める予定だ。

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