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それでも緊急地震速報は「役立っている」

2012.03.23

 昨年3月の東日本大震災以降、テレビや携帯電話などで地震の強い揺れの到来を知らせる「緊急地震速報」を見聞きした際に、人々がどんな行動を取っていたのかを調べたアンケート結果を、気象庁が公表した。

 調査は今年1月末から2月初めにかけて、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島の3県と、過去に緊急地震速報を発表した22都道府県の人々を対象に郵送やインターネットを使って行った。得られた2,817人(回答率18%)の回答について分析した。

 緊急地震速報を見聞きした60.6%の人が「危険回避行動を取ったことがある」と回答した。その行動内容は「机などの下に潜る」や「家の中の安全な場所に移動する」などの屋内での危険回避、家族など身の周りの人を守る行動、「テレビをつける」といった情報収集などだが、特に岩手、宮城、福島の回答者は「身の周りの人を守る」行動や、家のドアを開けたり外に出るといった「屋外での危険回避」、火を消すなどの「二次災害の抑止」の行動が、他の地域の回答者よりも多かった。

 さらに危険回避については22.3%(627人)が「何の行動も取ったことがない」、17.2%(484人)が「何らかの行動を取ろうとしたができなかった」と回答した。何の行動も取らなかった主な理由(複数回答)は「自分のいる場所は安全だと思った」(208人)、「これまでも大丈夫だったので、今回も大丈夫だと思った」(157人)、「行動する時間の余裕がなかった」(143人)、「どのような行動を取るべきか分からなかった」(114人)だった。

 緊急地震速報は最大震度5弱以上が予測される地震で、震度4以上の揺れが来ると予測される地域に発表している。東日本大震災以降に発表した104回の緊急地震速報のうち、63回は震度2以上の弱い揺れの地域にも発表するなどの「不適切な例」があった。

 アンケート回答者のうち80%以上が、緊急地震速報は「役立っている」「どちらかといえば役立っている」と答え、その理由は「身構えることができる(避難などの行動ができる)」が多く、次いで「安心できる・心構えができる」「身を守ることができる」だった。「役立っていない」「どちらかといえば役立っていない」の理由は、「強い揺れが来るという発表だったのに、実際は弱い揺れだった」が多く、特に岩手、宮城、福島の回答者からは「地震の揺れが始まってから緊急地震速報を見聞きし、対応できなかった」の回答が多かった。

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