ニュース

除染がなければ放射能の土壌濃度が半減するのは6年後

2012.03.14

 東京電力福島第一原発事故によって汚染された土壌中の放射能濃度は、風雨などの自然現象や除染活動による効果を考慮しなかった場合に、約6年後に半減し、汚染土壌から高さ1メートルでの空間線量率も3-4年で半分程度になるとみられることが、文部科学省がまとめた放射性物質の分布状況などに関する調査研究報告書によって明らかになった。

 同省は、地表面に沈着した放射性物質による住民や環境への影響の基礎資料とするため昨年6月から、福島第一原発の半径100キロ圏内の約2,200地点で空間線量率を測定するとともに、各地点の5カ所から表層5センチの土壌を採取し分析した。

 その結果、昨年6月14日を基準日とした場合、福島第一原発から放出された放射性物質セシウム134(半減期2.065 年)とセシウム137(同30.167年)の土壌への沈着量の比率はほぼ等しく、空間線量率への寄与度合いは、セシウム134が約70%、セシウム137が約30%と、他の放射性物質(ヨウ素131、テルル129m、銀110mなど1%以内)よりも高いことが確認された。

 そこで、セシウム134・137の物理的半減期や、国際原子力機関(IAEA)が定める空間線量率への換算係数から、将来の放射性物質による影響を試算したところ、これら放射性セシウムの土壌濃度が半減するのは約6年後、空間線量率が半減するのは3-4年後になることが分かった。ただしこれらには、風雨などの自然現象による放射性物質の沈着状況の変化や、土壌の除染作業などによる効果などは含んでいない。

 なお今回の事故では、1平方メートル当たり148万ベクレルもの高濃度のセシウム137が飛散した地域は、福島第一原発から32.5キロメートル離れた福島県浪江町が最も遠かった。チェルノブイリ原発事故(1986年)では、同濃度の汚染地域は250キロメートルも離れた地点で確認された。

関連記事

ページトップへ