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甲状腺被ばくは最大87ミリシーベルト

2012.03.12

 東京電力福島第一原発事故で放出された放射性ヨウ素による甲状腺被ばく状況を調べている弘前大学被ばく医療総合研究所(青森県弘前市)の床次(とこなみ)眞司教授は、調査した住民65人のうち50人から放射性ヨウ素を検出し、うち5人が健康的な予防措置が必要となる国際基準50ミリシーベルトを超えていたことを明らかにした。最高値は87ミリシーベルトだった。

 日本の新聞各紙の報道によると床次教授らは昨年4月11-16日の6日間、福島県浜通り地区から福島市に避難した48人と、原発から約30キロ圏の福島県浪江町津島地区に避難せず残っていた17人の計65人(0歳-80代)について、のどに検出器をあてて甲状腺の放射性ヨウ素131(半減期8.04日)の濃度を計測した。この実測値を基に、原発事故の直後(昨年3月12日)に放射性ヨウ素を吸い込んだと仮定し、甲状腺の内部被ばく線量を計算した。

 その結果、津島地区の3人と、2週間ほど浪江町にいてその後福島市に避難した2人の計5人の成人が50ミリシーベルトを超えていた。50ミリシーベルトは、国際原子力機関(IAEA)がチェルノブイリ原発事故(1986年)の後に定めた、甲状腺がんを防ぐために安定ヨウ素剤を服用する目安となる値だ。最高値87ミリシーベルトの1人は同地区に残っていた成人だった。

 甲状腺がんのリスクは若いほど高いともいわれるが、今回の調査では子ども(15歳以下)の最高値は47ミリシーベルトだった。国が昨年3月下旬に同県いわき市や川俣町、飯館村の子ども1,080人に行った測定では35ミリシーベルトが最高値と推定されていた。

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