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東京大学の数物連携宇宙研究機構が4月から「カブリ研究所」に

2012.02.09

 東京大学国際高等研究所の数物連携宇宙研究機構(IPMU)は、米カブリ財団からの寄付で750万ドル(約5億7000万円)の基金を設立し、4月1日から新しく「東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構」としてスタートする。海外の財団からの恒久的支援を受ける研究組織は、日本の国立大学法人では初めてという。

 数物連携宇宙研究機構は、文部科学省の推進事業「世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)」に採択され、2007年10月に発足した。同機構では現代基礎科学の最重要課題である暗黒エネルギーや暗黒物質、統一理論(超弦理論や量子重力)などの研究を、数学や物理学、天文学などの分野における世界トップクラスの研究者の連携によって推進している。今年度のWPIプログラムの中間評価でも唯一、最高(S)の評価を受けた。

 カブリ財団は、ノルウェー生まれの実業家フレッド・カブリ氏が米国で自動車部品などの製造で築いた富に基づき、基礎科学の推進のために2000年12月に創設した。これまで米ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学、英ケンブリッジ大学、北京大学など世界15の研究機関に基金を寄付し、名称に「カブリ」の冠をつけた「カブリ研究所」を設立している。主に宇宙物理学やナノサイエンス、脳科学、理論物理学の4分野の研究を支援している。

 世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)による資金は10年間の期限付きのため、今回のカブリ財団による支援は同機構の恒久的な資金を保証するものとなる。村山斉・機構長は「IPMUが国際的に認知されることになり、世界中から優秀な人材を募集するのに役立つ。ほかのカブリ研究所との共同研究の機会が加速される」と話している。

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