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原子力安全基盤機構に13項目の改善要求

2012.01.13

 検査を実施する要領書の本体が、検査対象の事業者が作成したものだったなど、ずさんな組織運営が問題視されている原子力安全基盤機構について、同機構の「検査等業務についての第三者調査委員会」が12日、13項目にわたり具体的な改善を求めた報告書を公表した。

 報告書は、事業者からの申請書に依存した結果、非破壊検査の一部が行われていなかったのを定期検査で気付かなかったなど、独立性を疑わせる3つの事例について細かに問題点を列挙している。

 その上で、「法律が機構の公正中立な検査等を前提として検査等業務の一部あるいは全部を機構に委託している以上、機構が検査等業務を主体的にかつ事業者の影響から独立して行うことは法律上も実務上も必須の要請。機構の検査等業務が主体性、独立性を失い被験者である事業者に依存するならば、その検査は正確性、実効性を欠くものとなり、ひいては機構の検査等業務の適正さに対して国民に大きな疑念を抱かせることにならざるを得ないであろう」と断じている。

 提言した13項目の中には「検査等業務の公正性、中立性そして適正性の確保という機構の役割規範という観点から、検査等業務の遂行にあたっての具体的な職務規程を制定する」「外部監査は『随時』実施するのではなく、定期的に実施する」など、原子力安全確保を任務とする独立行政法人として当然、備えていなければならなかったと思われる改善策が含まれている。

 原子力安全基盤機構は、「原子力施設に関する検査や設計に関する安全性の解析、評価などを行うことで原子力安全確保のための基盤整備を図る」ことを目的に2003年に設立された。理事長は元京都大学原子炉実験所 副所長の中込良廣氏だが、福島章理事長代理を含む残る理事3人は全て経産省OB(3人とも原子力安全・保安院の要職を経験)が占めている。

 報告書をまとめた「検査等業務についての第三者調査委員会」のメンバーは以下の通り。

 委員長:柏木俊彦・大宮法科大学院大学 学長・柏木・田澤法律事務所 代表弁護士
委員:岡本孝司・東京大学大学院工学研究科原子力専攻 教授、勝田忠広・明治大学法学部 准教授、齋藤昌彦・社団法人日本航空技術協会 講師、米岡優子・ペリージョンソンレジストラー株式会社 取締役副社長

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