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長いトンネル車内でも二酸化窒素高濃度に

2012.01.12

 呼吸器系疾患の原因となる二酸化窒素(NO2)の濃度が、高速道路のほとんどの地点で大気環境基準の1日平均値を超えることが、東京大学と交通安全環境研究所の研究者たちによる調査で明らかになった。特に総延長10キロほどで交通量の多いトンネル内の濃度が高く、外気導入モードで走行している場合、車内でもNO2濃度が短期暴露指針値の7倍という大きな値になることが確認された。

 戸野倉賢一・東京大学大学院新領域創成科学研究科教授、山田裕之・交通安全環境研究所主任研究員、林瑠美子・東京大学環境安全本部助教による調査は、車に2台のNO2計測装置を搭載、中央高速-首都高速-東名高速道路上を走り、道路上と車内のNO2濃度を測定する方法で行われた。

 大気環境基準は、1978年に中央公害対策審議会から答申された値で、NO2については1時間値の1日平均値が0.04-0.06ppmとされている。同審議会はまた、地域の人口集団の健康を適切に保護することを考慮した短期暴露指針(1時間値)として0.1-0.2ppm、長期暴露指針(年平均値)として0.02-0.03ppmという濃度値も答申した。

 戸野倉氏らの調査の結果、首都高速道路のトンネル内では短期暴露指針値の10倍を超え、車内でも7倍もの濃度値が計測された。ただし、空調モードを内気循環にすることで車内の濃度は大気環境基準(1日平均0.04-0.06ppm)程度に抑えられることも確認されたという。

 また、上り坂や渋滞時でも、短期暴露指針値の上限0.2ppmに近いNO2値が計測されている。

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