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スマートフォンの情報セキュリティに不安

2011.12.20

 急速に普及しつつあるスマートフォンについて、総務省の研究会がセキュリティ上の危険を警告し、利用者が注意すべき「情報セキュリティ3か条」を盛り込んだ中間報告を19日公表した。

 「スマートフォン・クラウドセキュリティ研究会」(座長・山口英 奈良先端科学技術大学院大学 教授)の中間報告はまず、「利用者ごとの権限設定ができない」、「ファイルの暗号化などの機能に乏しい」などパソコンにあってもスマートフォンにはない特性や、「無線LANも利用」というスマートフォン特有の条件により、パソコンで可能な情報セキュリティ対策を取ることが困難になる可能性があることに注意喚起している。

 また、カメラやGPS(衛星利用測位システム)などパソコンにない機能が新たな脅威を生み、悪意のあるアプリケーションに対して、過大なアクセス範囲を利用者がいったん承認してしまうと、セキュリティモデルが有効に機能しなくなる危険性も指摘した。さらに、利用者が身につけている時間が長いため、アプリケーションや位置情報の使用に付随する利用者に関する幅広い情報が蓄積されており、それらが外部に流出することの危険性も示した。これらの情報を利用者が知らないまま外部に送信する機能を持つプログラムが、実際に出現している事実を明らかにしている。

 中間報告は、携帯電話事業者、端末製造事業者に対し、OS(基本ソフト)、アプリケーション、ネットワーク対策と、一般利用者への普及啓発を求めるとともに、利用者に対し「OS更新の連絡にはすぐに対応」「ウイルス対策ソフトの利用」「アプリケーションの入手に注意」の3点を「情報セキュリティ3か条」として提言している。

 スマートフォンの普及スピードは目覚ましく、中間報告によると今年度上半期(4-9月)の国内出荷台数は1,004万台。これは前年度比4.5倍で、携帯電話端末の国内総出荷台数の49.5%を占めている。この傾向は今後も続き、契約数は今年度末には昨年度末の3倍弱、3,000万に近づくと予想されている。

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