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事故原発中長期措置の困難さ指摘 臨界防止対策の必要も

2011.12.08

 原子力委員会の中長期措置検討委員会は8日、30年以上かかると見込まれる福島第一原子力発電所1-4号機の廃炉に向けた中長期措置の手順と技術的課題について検討した結果を公表した。

 検討に当たっては、1979年に炉心溶融事故を起こした米スリーマイルアイランド原子力発電所でとられた手順を参考にしている。ただし、同事故ではなかった圧力容器と格納容器の深刻な損傷が確実とみられることを受けて、前例のないさまざまな対応の必要を指摘しているのが目立つ。

 非常な困難が予想されるとしてまず挙げているのが、溶融した燃料の取り出し作業前に必要としている格納容器を圧力容器ごと水で満たす水張りの措置。米スリーマイルアイランド原子力発電所事故でとられた方法だが、まず高濃度の放射能汚染水が漏出している格納容器の損傷個所を見つけ出すため、遠隔で当該部にアクセスする技術や、漏えいを検知するための技術が必要となる。さらに漏えい個所が明らかになった場合、これをふさぐために水中で、かつ流水状態で止水する技術が必要となる、としている。

 止水できない場合に備え、代替方策の検討、さらに格納容器の水張り自体ができない場合も想定し、溶融燃料からの非常に強い放射線をどのように制限するかなど研究開発段階から代替方策についても並行して検討・準備することが重要だ、とした。

 圧力容器ごと実施される格納容器の水張りの際、圧力容器内にある溶融燃料に対する水(減速材の役割もする)の比率が変化し、溶融燃料が臨界となるリスクが高まる可能性を指摘し、臨界を防止、監視する技術の必要も挙げている。

 このほか、圧力容器あるいは格納容器から溶融燃料を取り出す作業では、硬くなっていると想定される溶融燃料を収納缶に収めるために、ドリルなどで細断した上、つかみ揚げるか吸引する作業を遠隔で実施する技術が必要だ、としている。この作業は、格納容器のすぐ上、燃料取り替え床に作業台を設置して実施することになるが、ここでも、溶融燃料の臨界を防止、監視する技術の必要を指摘している。

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