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原子力安全委が原発事故防災対策区域見直し案公表

2011.10.21

 原子力安全委員会の防災指針検討ワーキンググループは20日、福島第一原子力発電所事故の経験を基に、現行の防災指針を大幅に見直す案をまとめ公表した。

 「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」を原子力発電所から半径「約8-10キロ」としていた現行指針から、範囲を大幅に拡大しただけでなく、時間的な要素を加味した3段階に分けた考え方を取り入れているのが特徴となっている。

 まず、事故が発生した際、放射性物質が放出される前に直ちに避難を実施するなどの計画を策定しておく「予防的防護措置を準備する区域」を設定、区域の範囲の目安を原子力発電所から「概ね5キロ」とした。さらに、予測的手法ではなく事故発生後の計測可能な判断基準に基づいて避難、屋内退避などを準備する「緊急時防護措置を準備する区域」を設けている。この区域では、防護措置の計画を策定するほか、放出された放射性物質の環境への影響を把握するための環境モニタリング体制を整備する。この区域の範囲は「概ね30キロ」としている。

 この2つの区域に加え、今回新たな考え方に基づく「プルーム通過時のヨウ素による甲状腺被ばくを避けるための屋内退避、ヨウ素剤服用等の対策を準備する区域」が盛り込まれた。この区域では放射性ヨウ素による甲状腺被ばくを防ぐための屋内退避や、安定ヨウ素剤の服用などの防護措置を実施するための計画をあらかじめ策定しておく、とされている。

 新しい国際原子力機関(IAEA)の安全基準によると、安定ヨウ素剤を服用する基準は予想される被ばく線量が100ミリシーベルトから50ミリシーベルトに引き下げられた。この基準と福島第一原発事故後の甲状腺被ばく量の推定値を参考に、この区域の範囲として「概ね50キロ」という参考値が示されている。屋内退避や安定ヨウ素剤の配布など防護措置計画については、今後検討が必要である、となっている。

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