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独りよがりは団体球技に向かない

2011.10.17

 団体球技の優れた選手は、2人以上の味方選手の動きをみてプレーしていることが、名古屋大学の研究者たちによって明らかにされた。

 サッカーやバスケットボールなど同じコートで多数の選手が敵味方入り乱れて闘う団体球技では、自分のことだけ考えてプレーする選手はあるレベル以上に上達しない。こうした経験者の常識が科学的にも裏付けられた形で、研究者たちは「対称性ホップ分岐理論」における対称性の破れで説明できる、と言っている。

 山本裕二・名古屋大学総合保健体育科学センター教授と横山慶子・日本学術振興会特別研究員は、サーカーの基礎練習の一つである3対1(1人の防御に対し3人がパスを回す)を大学のトップレベル、中級レベル、大学で初めたグループにそれぞれやらせ、パスを回す3人の行動パターンをビデオで撮影、選手の位置を記録した。

 3人の位置する三角形のそれぞれの角度と時間頻度を調べたところ、対称性ホップ分岐理論で予測される回転パターンに似た動きを上級者ほどしていたのに対し、初級者は部分逆位相パターンに似た動きであることが分かった。つまり、上級者は常に自分以外の2者との関係をある一定に保とうと動いているのに対し、初級者は、自分以外のどちらか1人のみとの関係で動いていることを示していた。

 「自分以外の2者の動きに気付いているから対称性を保て、そうでない下手な選手は対称性が破れてしまう。トップレベルの選手は個々の能力とともに連携の能力も練習によって培われたものと考えられ、一般生活におけるチームワーク改善のヒントにもなりそうだ」と研究者たちは言っている。

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