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米長将棋連盟会長が北陸先端科学技術大学院大学特任教授に

2011.10.06

 北陸先端科学技術大学院大学が、特任教授に米長邦雄・日本将棋連盟会長(元将棋名人、永世棋聖)を迎え、10月から富士通の寄附講座「思考の可視化」を始めた。

 寄付講座の期間は1年間で、人工知能の研究推進が目的。「試合の流れを視(み)る」「勝負の極意を看(み)る」「名人のわざを観(み)る」の3つの観点から思考の可視化に挑む。さらに人工知能、認知心理学、勝負心理学、ゲーム情報学の領域で学際的な共同研究を実施するという。

 北陸先端科学技術大学院大学教授でコンピュータ将棋ソフト「TACOS(タコス)」の開発者としても知られる飯田弘之氏(プロ棋士6段の資格も持つ)と、将棋ソフト「激指(げきさし)」の開発者の一人、鶴岡慶雅・客員准教授が、米長特任教授とともに講座を担当する。

 日本将棋連盟と富士通は、理化学研究所と2007年から脳機能に関する共同プロジェクトを実施した実績がある。研究の結果、プロ棋士にはアマチュア棋士とは異なり、長考する時とは別に一目で状況判断、最善手を見つけ出す特異な思考の回路(直感)があるといった興味深い事実が分かってきた。

 コンピュータ将棋ソフトの進歩は目覚ましく、昨年秋には清水市代女流王将(当時)とコンピュータ将棋ソフト「あから」の公開対局が大きな関心を集めた。「あから」は、鶴岡准教授が開発した「激指」を中心に4つの将棋ソフトが合議して差し手を決めるというシステムになっていた。鶴岡准教授はこの対局の際、「あから」のオペレーターを務めている。この対局は、「あから」のほぼ一方的とも思われる勝利に終わった。

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