ニュース

津波に対する3階建ての優位国交省調査で裏付け

2011.10.05

 東日本大震災の津波による建物被害では、3メートル以下の浸水であれば3階建て以上の鉄筋コンクリート造りや鉄骨造りの損傷が軽いことが、国土交通省の調査結果で明らかになった。浸水した階より上の階にいた人が危険な状態になるほどの損傷を受けた建物は1割以下となっている。

 調査結果は、青森県から千葉県まで6県62市町村の約23棟について被害の程度を「全壊(流出)」、「全壊」、「全壊(1階天井以上浸水)」、「大規模半壊」、「半壊(床上浸水)」、「一部損壊(床下浸水)」の6つに区分している。このうち「全壊(1階天井以上浸水)」は修繕により再使用可能だとして、「全壊(流出)」と「全壊」だけを、浸水階より上の階に人がいた場合に危険なほどの損壊が生じた、としている。

 国土交通省は、また、岩手、宮城、福島の3県37市町村のうち死亡者の詳しい住所が分かっている13市町について、死亡者8,202人の居住地とその地域の津波で浸水した深さとの関係を100メートル四方単位で調べた。この結果、65歳以上の高齢者ほど、あるいは浸水した深さが深いほど死亡率が高まることに加え、リアス式海岸地形が特徴的な石巻市牡鹿半島より北の地域の方が、平野部が多い石巻市平野部以南に比べ平均死亡率は高いことが明らかになった。石巻市牡鹿半島以北の平均死亡率は3.9%だったのに対し、石巻市平野部以南は2.5%と1ポイント以上低い。

 一方、同じ深さの浸水域で両地域を比較すると比較すると、逆にリアス部より平野部の方が死亡率は高いという興味深い違いが見られた。浸水の深さが1.5メートルから15メートルまでどのレベルの深さにおいても軒並み石巻市平野部以南の死亡率が高い。例えば、浸水の深さが2.5-3.0メートルでは、石巻市牡鹿半島以北で3%弱なのに対し、石巻市平野部以南は4%強、3.5-4.0メートルでは、石巻市牡鹿半島以北が3.0%強なのに対し、石巻市平野部以南は約7.5%となっている。

 死亡率の差をもたらした理由について国土交通省は、平野部ではリアス部と比較して避難できる高台が近くになかったことなどが考えられる、としている。

関連記事

ページトップへ