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日本の未来創造も読書のすすめから

2011.09.05

 東日本大震災がもたらした危機的な状況から日本が立ち直るには、未来を創造する力を養うため、社会全体で読書を推進することが必要だ、とする報告書を文部科学省の「国民の読書推進に関する協力者会議」がまとめ、公表した。

 報告書は、目指すべき社会観や幸福観、科学技術と自然との調和についての考え方が大きな変更を余儀なくされているという現状を示し、「どう生きるのか、どのような社会を目指すのか。その問いに対する答えを探すために、今ほど一人一人に、また社会全体に読書が求められている時代はない」としている。

 報告書は調査結果を引用し、「1年間に『趣味としての読書』を行ったと回答したのは、10歳以上の国民の4割強」、「本を読む量や時間について、約7割が以前と比べて減少したと回答。小学生は全体の約6割以上が1日10分以上読書をしているが、中学生になるとそれが約5割に低下し、『全くしない』が4割近くに増加」と、日本人の読書量が落ちている現実を指摘している。

 図書館の司書、学校図書館の司書教諭、学校図書館担当職員などの専門的職員を確保することが重要だとするとともに、住民も参加した自治体ごとの「読書環境プラン」を策定し、実現する地域ぐるみの取り組みを提言している。

 読書環境に与えるICT(情報通信技術)の役割について、「ケータイ小説」の登場を挙げて、若者たちに読書への関心を高めさせるきっかけとなる可能性を指摘しているのが目を引く。「良い方向に作用すれば、『本』というメディアと電子メディアとの相互補完による新しい読書環境の実現や、新たなビジネスチャンスを生むことにもつながるかもしれない」と、ICTによる変化にどのように対応していくかが社会全体に問われている、と指摘している。

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