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住民帰還まで10-20年かかる区域も 政府地元に説明

2011.08.29

 27日福島市内で「原子力災害からの福島復興再生協議会」が開かれ、菅首相以下政府側出席者と佐藤福島県知事をはじめとする地元首長らとの間で、今後の除染方法を含めた福島県の復興の進め方が話し合われた。この中で政府側は、除染対策によっても現在、計画的避難区域設定などの目安となっている年間被ばく線量「20ミリシーベルト」以下に達するまで相当長期間を要する地域が存在することを明らかにした。

 原子力事故など緊急事態において避難などの緊急活動が必要な放射線被ばく量として国際放射線防護委員会(ICRP)と国際原子力機関(IAEA)は、年間20-100ミリシーベルトという基準を示している。政府は、この下限値である20ミリシーベルトを根拠として、それを超える恐れのある区域を現在、「計画的避難区域」に指定している。福島第一原発から半径20キロ以内の範囲は、20ミリシーベルトをはるかに超える区域として、許可なく立ち入ると罰則規定が適用される「警戒区域」に指定されている。

 福島復興再生協議会で政府側は、「警戒区域」「計画的避難区域」については、住民の帰還が実現するまで、国が主体的に除染を実施するという基本方針を示した。政府側が示した除染によって予想される年間被ばく線量の低減推定グラフは、風雨などによる自然の減衰効果などを加味しても、年間被ばく線量が20ミリシーベルト以下になるまでに、現在、年間被ばく線量推定値が50ミリシーベルトの区域で約4年、100ミリシーベルトの区域で約10年、150ミリシーベルトでは約20年間かかることを示している。

 除染を進めるには、汚染土壌などの処分が引き続き大きな問題になるが、政府側が示した「除染に関する緊急実施基本方針」によると、「長期的な管理が必要な処分場の確保や安全性の確保は国が責任を持って行い、早急に建設に向けたロードマップを作成し、公表する」とする一方、「当面の間、市町村またはコミュニティーごとに仮置場を持つことが現実的で、国は財政面・技術面で市町村の取り組みを支援する」と地元の対応を求めている。

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