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ブッポウソウとマミジロの越冬地突き止める

2011.07.05

 日本で繁殖するブッポウソウとマミジロは冬をそれぞれボルネオ島とカンボジアで過ごすことを、山階鳥類研究所が鳥に装着した軽量記録装置(ジオロケータ)のデータを調べることで突き止めた。

 ブッポウソウやマミジロは夏に日本で繁殖し、国外で越冬する。これら夏鳥には近年、数が減少しているものが多い。ブッポウソウは環境省のレッドブックで絶滅危惧1B類(近い将来絶滅の恐れが高い種)に指定されており、マミジロも減少が指摘されている。

 夏鳥が減少している原因としては越冬地の環境破壊も考えられるため、山階鳥類研究所は、ジオロケータによる追跡を試みた。装着して約1年後に回収した記録装置のデータから、広島県で繁殖したブッポウソウはボルネオ島北部で、また静岡県で繁殖したマミジロはカンボジアで冬を越したことが明らかになった。

 山階鳥類研究所は、発信器が重いため人工衛星を利用した追跡調査ができない小さな鳥類でも、ジオロケータが有力な調査手法になることを実証できた、と言っている。

 ジオロケータは、明るさを記録する装置で日の出、日没の時刻などから鳥が移動した緯度経度が推定できる。海の哺乳類や大型の海鳥の追跡調査に使われていたが、一昨年北米の小型鳥類の渡り追跡結果が科学誌に掲載されて以来、小型鳥類の追跡方法としても関心を集めている。

ジオロケータを装着したブッポウソウ  (提供:山階鳥類研究所)
ジオロケータを装着したブッポウソウ (提供:山階鳥類研究所)

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