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鉛含まない世界最小の強誘電体開発

掲載日:2010年10月28日

ナノ物質を重ね合わせることで世界最小の強誘電体を作り出すことに物質・材料研究機構国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の研究チームが成功した。

強誘電体は、電圧の向きを変えてやると電極のプラス、マイナスが反転し、電圧がゼロになってもその時点の分極が保たれる性質を持つ物質。薄膜の強誘電体は、使わないときに電気を切っても記憶が消えない次世代型超低消費型パソコン用メモリなどへの応用が期待される。

物質・材料研究機構の長田 実・MANA研究者、佐々木 高義・主任研究者らが用いた手法は、分子レベルの薄さのシート2種類(Ca2Nb3O10、LaNb2O7)を積み木細工のように交互に重ね合わせることで、10ナノメートル(ナノは10億分の1)という薄い膜の強誘電体を作った。この方法は、江崎玲於奈氏が創出した超格子という新材料生成法を活用したものだ。

強誘電体を利用したメモリは「究極のメモリ」として期待されているが、既存の強誘電体は使用中に分極特性が徐々に変化してしまう不安定性の問題に加え、ナノレベルまで薄膜化すると分極特性自体が低下するという問題を抱えている。

今回開発された薄膜強誘電体は、既存の代表的な強誘電体で次世代型超低消費型パソコン用メモリの候補にもなっているジルコン酸チタン酸鉛(PZT)と異なり、有害な鉛を含まない。消費電力の節約だけでなく地球環境保護にも貢献する次世代エコ材料としても期待できる、と研究チームは言っている。

この研究成果は、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)「ナノ科学を基盤とした革新的製造技術の創成」の一環として得られた。

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