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前立腺がん関連遺伝子多型5つ発見

2010.08.04

 日本人の前立腺がん発症に関連がある5つの一塩基多型(SNP)を理化学研究所と東京大学医科学研究所などの研究グループが発見した。

 ヒトのDNAの遺伝子配列には微妙な違いがあり、同じ配列の違いが1%以上の人に見られるDNAの場所を遺伝子多型という。違いが一つの塩基だけの遺伝子多型が最も多く、これを一塩基多型(SNP)といい、遺伝的な個人差を知る手がかりとなっている。

 前立腺がんに関連する新たなSNPは、理化学研究所ゲノム医科学研究センターの中川英刀バイオマーカー探索・開発チームリーダーらが、文部科学省のオーダーメイド医療実現化プロジェクト(プロジェクトリーダー・中村祐輔・東京大学医科学研究所教授)で収集された4,584人の前立腺がん患者と8,801人の対照群についてSNPを解析した結果、見つかった。

 新たに見つかった5つのSNPに加え、さらに既に欧米人について関連があると報告されている31個のうち19個も、日本人の前立腺がん発症にも関連があることを確かめた。

 日本人が前立腺がんになる率はアフリカ、欧米の人たちより低いが、食生活の変化などで増加の傾向にある。現在、前立腺がんの早期発見に有効な方法はPSA検診だけ。これは前立腺で作られるタンパクが血液中にどれだけ含まれかを調べる。しかし、PSAの検診値はがん以外の前立腺炎や前立腺肥大でも異常値を示すほか、逆に低い場合でも多くの前立腺がんが見つかるなどの問題がある。

 研究グループは、今回の成果が日本人の前立腺がん検査法の改良、開発につながると期待している。

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