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酸化チタン・ナノチューブに高効率触媒機能

2010.05.13

 殺菌効果などを利用した幅広い用途を持つ酸化チタンをナノチューブにすることで、化学工業用の触媒にも使用可能なことを東京工業大学の研究者たちが発見した。

 酸化チタンは光触媒とも言われるように化学反応を促進する機能を持つことが知られている。ただし、化学工業で広く用いることができるほど触媒能力は高くない。東京工業大学応用セラミックス研究所の北野政明・特任助教、原亨和・教授らは酸化チタンを筒の内径が約5ナノ(10億分の1)メートルサイズのナノチューブ状にすることで、触媒機能を大幅に向上できることを確認した。

 さらに重要な特徴は室温でも触媒として十分な機能を持つことで、燃料や樹脂,医薬品,洗剤などさまざまな化学品を合成する際に用いられるフリーデルクラフツアルキル化反応で実際に確かめたところ、従来の触媒は100℃の熱を加えなければならないのに対し、室温で働き、効率も3倍以上高まることが分かった。

 酸化チタンは地球上に豊富にあり、ナノチューブ状の酸化チタンはアルカリ水溶液中で加熱するという簡単な方法で合成できる。より高性能の酸化チタン・ナノチューブ触媒を開発することで、化学品生産に要するエネルギー使用量と二酸化炭素(CO2)の排出量を3分の1以下に削減できる、と研究者たちは言っている。

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