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絶縁体に電気信号を流すことに初めて成功 画期的な電子機器への応用期待

掲載日:2010年3月12日

東北大学金属材料研究所の齋藤英治教授らは、絶縁体に電子のスピン(自転運動)の波の性質を使って電気信号を伝達させる画期的な方法を発見した。電気が流れないために熱がほとんど発生せず、将来は革新的な省エネタイプの電子素子や電子機器の開発につながるとみられる。

電気は一般に金属や半導体に流れるもので、ガラスやプラスチックのような絶縁体には電気も電気信号も通さないと長い間考えられてきた。

電気は電子の流れをいうが、その電子にはマイナスの「電荷」と「スピン」の成分がある。今回の発見は、電気を流さない絶縁体でも、磁石の性質があればスピンの性質をうまく使って「スピンの波」として電気信号を伝達できることを証明した。

実験は、絶縁体の磁性ガーネット結晶(イットリウム、鉄、酸素の化合物)の両端に重金属の白金電極を付けて、精密な電気測定をした。一方の電極に直流の電流を流したところ絶縁体を通して反対の電極に電圧が測定された。これは白金電極中で電流が電子スピンの流れに変換され、電子スピンの方向が次々に変化しながら絶縁体中をスピンの波として伝わり、反対電極でスピン波が電流に“逆変換”されたものである。この間、電子スピンの“みそすり運動”などによる減衰はわずか数%しかなかった。

金属や半導体に電流を流すと、内部抵抗によって熱(ジュール熱)は発生するため、素子の小型化や省電力化の妨げになり、電子機器ではいかに発熱を減らすかが大きな課題になっている。

この研究成果は、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業 個人型研究(さきがけ)の支援で得られた。

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