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国立大学博士課程の定員縮小要請

2009.06.10

 文部科学省は、国立大学法人に対して大学院博士課程の入学定員を来年度から始まる次期中期目標・中期計画で見直すよう求めた。

 通知は、第1期中期目標期間(2004-09年度)で、各法人が必ずしも国民の期待にこたえられていない点があると指摘し、各法人の規模や内容に応じて組織のあり方などについて見直し、目指す方向と個性化が明確となる次の中期目標・中期計画を策定するよう求めている。人口減少や世界的な状況の変化への対応の必要性も指摘している。

 大学院博士課程については、定員割れしているかどうかといった現状や、社会が博士課程修了者をどの程度必要としているかなどを総合的に勘案して見直す必要を指摘し、就職できない修了者が多いところや、定員の大幅割れを来している博士課程について定員の縮小を求めている。法科大学院や教員養成系学部についても同様に、実績に基づく組織編成が必要だとしている。附置研究所についても、研究の質の向上に向けて研究体制などの見直しを求めた。

 文部科学省が組織の見直しを迫る背景には、国立大学の法人化により、組織編成などの運営面や財政面で大学独自の改革がやりやすくなったことがある。

 一方、博士課程の拡充は、欧米に対して人口あたりの博士号取得者が少ない現実を踏まえ、1996年からスタートした第1期科学技術基本計画に「ポスドク1万人計画」として盛り込まれた経緯がある。この目標は計画より1年早く99年に達成されたが、他方、博士課程修了者数に見合う就職先が用意されていないために安定したポストにつけない若手研究者が増え、ポスドク問題としてさまざまな議論が起きている。

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