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微生物の力で希少金属の利用効率向上

2009.02.20

 資源量が少ない希少金属である白金の利用効率を微生物の力で高める方法が、日本原子力研究開発機構と名古屋大学の研究チームによって見つけ出された。

 日本原子力研究開発機構・先端基礎研究センターの鈴木義規・博士研究員、大貫敏彦・研究主席らと名古屋大学エコトピア科学研究所の榎田洋一教授との共同研究グループは、超ウラン元素と結合する性質を持つ鉄還元菌に着目した。この鉄還元菌を白金酸溶液とパラジウム酸溶液に添加したところ、菌の細胞表面にナノスケールの白金族粒子が生成することが確認された。

 さらに、表面にナノ粒子が生成された鉄還元菌細胞をケイ藻土に張り付けて、触媒としての効果を調べたところ、白金粒子単体より約6倍高い効率を持つことが確かめられた。

 白金は、燃料電池のほか自動車エンジンの窒素酸化物除去に使われる触媒などに欠かせない材料となっている。しかし、生産量は限られていることから、代替材料探索とともに利用効率を高め資源枯渇時期をできるだけ先延ばしにする方法が求められている。ナノ粒子は、表面積を増やすことで触媒効果が高まる効果が期待でき、希少金属対策として安価なナノ粒子化技術の開発に各国が力を入れている。

 微生物を利用する方法はこれまで例がなく、研究チームは、実用化に大きな期待をかけている。

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