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ノキア製携帯端末発売中止の波紋広が

2008.12.02

 ノキアが11月27日、突然、日本で携帯端末販売中止を発表したことが、大きな波紋を呼んでいる。NTTドコモは1日、5日に発売予定だったノキア製の新端末機種「docomo PRO seriesTM Nokia E71」の発売を中止すると発表した。端末供給元であるノキアが日本独自の製品の販売および販売活動を打ち切ることから、やむなく発売を中止する、と説明している。

 ノキアは、世界の携帯端末市場で38%というトップの圧倒的シェアを誇るフィンランドの情報通信メーカー。日本でもソフトバンクモバイルとNTTドコモとそれぞれ提携し、同社の端末を販売するための戦略強化を着々と進めていると見られていた。

 ノキアの携帯端末販売撤退の発表は、最上級のカメラ機能を備えていることを売り物にした「Nokia N82」を、ソフトバンクモバイル社から28日に売り出すと発表した(26日)翌日。発表の中で、「現在の厳しい世界的な経済傾向の中では、日本独自の製品展開のための投資を続けていくことはできない、との判断を下した」と撤退の理由を明らかにしている。

 ノキアは1987年に初めてアナログ型のNMT携帯端末を発表したのに続き、94年には主要デジタル方式用の携帯端末を発表し、日本での提供も始めている。突然の撤退の理由は、世界的な経済状況の悪化とともに、世界の携帯端末市場の大きさに比べ、日本の市場の将来性にあまり期待が持てないと判断したためと見られている。ただし、今回の決定には、高級端末は含まれていない。宝石などをあしらった豪華な端末機種とユーザーのさまざまな要望に担当者が直接対応する特別なサービスを組み合わせた高級端末「Vertu」の販売活動は、引き続き続けることを明言している。

 また日本でのR&D活動はグローバルの製品開発において不可欠として継続していくほか、ソーシング活動も続行、さらに日本のメーカーとの協力もグローバル戦略において重大な役割を果たしているとして続ける方針を明らかにしている。

 ノキアのグローバル戦略は、携帯端末の世界市場進出で完全に後れを取っている日本のメーカーに対する「ガラパゴス化」という批判の格好の例に引かれてきた。他方、ノキアの携帯端末における圧倒的な優位にも頭打ちの兆しがみられ、10月16日の同社発表によると、2008年第3四半期の世界市場のモバイル機器販売台数予測は、3億1,000万台で、前年同期比8%増、前四半期比2%増であるのに対し、ノキアのモバイル機器販売台数は1億1,780万台で、前年同期比5%増、前四半期比3%減にとどまっている。また、2008年第3四半期のモバイル機器推定市場シェアは38%で、07年第3四半期の39%および08年第2四半期の40%より減少している。

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