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幹細胞研究で日米研究助成機関が協力覚書締結

2008.11.19

覚書署名後、握手する北澤宏一・科学技術振興機構理事長(左)トロンソン?CIRM理事長(右)山中信弥・京都大学教授(中)
覚書署名後、握手する北澤宏一・科学技術振興機構理事長(左)トロンソン?CIRM理事長(右)山中信弥・京都大学教授(中)

 科学技術振興機構と米国のカリフォルニア再生医療機構(CIRM)は18日、幹細胞研究の発展を目指し協力関係を強めることで合意した覚書を取り交わした。

 覚書に署名をした後、共同記者会見した北澤宏一・科学技術振興機構理事長とアラン・トロンソンCIRM理事長はそれぞれ、両機関の協力によって人工多能性幹細胞(iPS細胞)をはじめとする幹細胞研究がさらに進展し、一日も早く医療への応用が実現することへの期待を語った。

 この覚書は、iPS細胞を初めてつくりだした山中伸弥・京都大学教授が両機関に働きかけたのがきっかけで実現した。記者会見には山中教授も同席し、「iPS細胞研究の目的はあくまでも医学への応用。この覚書によって一日も早くこの最終目標に近づくことを期待している」と両機関への期待と謝意を述べた。

 北澤科学技術振興機構理事長は、覚書は包括的なもので具体的な協力については、これから決めるとしながら、研究者の交流、セミナー開催、共同研究などを進めていきたいとの考えを明らかにした。トロンソン理事長も、今回の覚書に対する期待を込めたシュワルツネッガー・カリフォルニア州知事からの「強力なメッセージを託されてきた」ことを明らかにするとともに、この2年間で研究助成や融資に6億ドル(約600億円)を支出していることなどCIRMの積極的な活動ぶりもアピールした。

 科学技術振興機構は、1年前、山中教授らによってヒトの皮膚細胞からiPS細胞がはじめてつくり出されて以来、iPS細胞研究への支援を強めている。CIRMは、2004年11月、カリフォルニア州の住民投票により、大学・研究機関の幹細胞研究に10年間で最大30億ドル(約3,000億円)を支出することが承認され、これを受けて05年初めに設立された。iPS細胞を含む幹細胞の再生医療などへの応用を目指し、研究費の支給や融資を幅広く行っている。米国内の研究機関や企業への研究助成、融資だけでなく、海外との協力にも熱心で、既にカナダがん幹細胞共同体、オーストリア・ビクトリア州、英国医療研究委員会とも、科学技術振興機構と同様の協力関係を築いている。

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