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国際熱核融合実験炉のコイル開発にめど

2008.09.08

 国際熱核融合実験炉(ITER)の主要装置であるポロイダル磁場コイルが、必要とされている52キロアンペアの電流を流せることを、日本原子力研究開発機構を中心とする研究チームが確認した。

 この試験結果を受けて、欧州、ロシア、中国がポロイダル磁場コイル用導体の調達を開始することになる。

 ポロイダル磁場コイルは、炉内のプラズマの形を制御する役割を持つ。今回試験に使われたのは、ロシアチームが製作したニオブチタン超電導線を1,440本よりあわせ、欧州がこれにジャケットと呼ばれるステンレス管をかぶせて導体に仕上げコイルに加工した。

 これまでの実績では流せる電流は30キロアンペアまで。これを1.7倍に高める必要があったが、日本原子力研究開発機構・那珂核融合研究所の試験装置で、1.7倍を超す52キロアンペアの通電に成功した。

 大電流を流すには、1,440本の超電導線に均一な電流を流すため、超電導線同士の接触抵抗を小さくしなければならない。他方、超電導体の発熱を抑えるために、逆に接触抵抗は大きくしなければならないという要求を満たす必要があった。研究チームは、ニッケルメッキを超電導線の表面に施す手法を採用することでこの問題を解決した。

 ITER計画は、将来の有力なエネルギー源と言われる核融合の実験炉建設を目的とする国際プロジェクトで、日本、欧州連合(EU)、ロシア、米国、韓国、中国、インドが参加している。2018年ごろの運転開始を目指している。

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