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観測点の設定ミスで緊急地震速報誤発信

2008.07.15

 気象庁は14日午後7時41分ごろ、「千葉県銚子市付近 最大震度5弱程度以上と推定」という緊急地震速報(高度利用者向け)を発信したが、最初に地震波を観測した観測点の設定ミスによる誤発信だった。

 10秒後の第2報以降、「最大震度2程度以上と推定」という正しい速報に修正されたが、誤発信により首都圏の一部地下鉄や私鉄が一時、運転を中止する事態が生じた。

 誤発信の原因は、最初に地震波を観測した銚子天王台で観測された加速度が12ガルだったにもかかわらず、緊急地震速報の発信条件が100ガル以上という正しい数値ではなく、10 ガル以上で発信する誤った設定となっていたため。実際に起きた地震は、茨城県沖を震源とするマグニチュード3.7 で、震度も最大2程度だった。

 緊急地震速報は、震源に最も近い観測点でキャッチした地震波から地震の大きさを推定、大きな地震の揺れが到達するまでの時間差を利用して地震に備える対策をとってもらうのが狙いのシステム。1昨年8月1日から交通機関など一部機関に限って始めていたが、昨年10月から一般向けにサービスされるようになった。さらに昨年12月1日からは、気象業務法の一部改正によって、地震動の予報および警報に位置づけられている。

 交通機関など「高度利用者向け」と昨年10月から始まった「一般向け」では運用条件が異なり、テレビやラジオでも報じられる一般向け緊急地震速報では「地震波が2点以上の地震観測点で観測され、最大震度が5弱以上と推定された場合」に発表する。今回発信されたのは高度利用者向けの緊急地震速報で、「いずれかの観測点1点で100ガルを超える加速度を観測した場合は、第1報で『最大震度5 弱以上と推定』」という発信条件に沿ったものだった。

 緊急地震速報は、震源に近いところでは対策をとる時間的余裕がないというシステム上の制約はある。しかし、海溝型の巨大地震など震源が居住地などから離れている場合、交通機関や発電所を停止させるなどさまざまな対策をとることが可能になると期待されている。

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