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一部産業のサイエンス型化顕著に

2008.07.14

 自動車、航空機、産業用運搬車両産業が、技術提携など学会を利用する傾向を近年顕著に強めていることが、科学技術政策研究所の調査研究で明らかになった。

 この「イノベーション測定手法の開発に向けた調査研究」は、効果的なイノベーション政策を進めるために、科学技術がイノベーションに与える効果を測定、評価する手法や指標を開発し、構築したデータベースを基に実際に3,000社の企業レベルで分析するのが目的。従来の静的でマクロな指標ではイノベーションのダイナミズムを十分にとらえられないとの認識に基づいている。

 質問票による調査の結果、自動車、航空機、産業用運搬車両産業は、科学の知見を積極的に取り入れ産業自体を変革させていることに加え、学会を商談、人材獲得、買収、パートナー探しといった活動の場として利用する「サイエンスを重視する傾向を近年強めている」日本の代表的な産業になっていることが明らかになった。

 10年前には、自動車、航空機、産業用運搬車両産業以上にサイエンス重視の産業だった化学(医薬品を含む)産業も、引き続きサイエンス重視を強めているが、自動車、航空機、産業用運搬車両産業ほどの変化はない。

 また、10年前からすでに自動車産業ほどサイエンス重視ではなくなっている電気機器・情報通信産業については、学会を論文発表などの「知の共有地」としてとらえる見方が強く、サイエンス(学会)との距離はこの10年でむしろ離れている。ただし、海外学会の併設展示会は重視する傾向があることも明らかになった。

 かつてサイエンス型産業の代表例と見られ、学会発表も多かった電気機器・情報通信産業は、SIDなどディスプレー関連学会で日本の発表件数が韓国に抜かれたことなど、学会発表を抑制している傾向が示唆された。

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