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麻疹ことしも流行か

2008.02.27

 一昨年、昨年に大流行した麻疹(はしか)が、ことしになってからも南関東や福岡県、北海道などを中心に全国各地で発生していることが、国立感染症研究所の調べで分かった。

 麻疹は、今年からすべての医療機関が届け出義務を負う全数把握疾患に加えられた。1月1日から2月20日までに報告された患者は2,119人。神奈川県の807人を最高に福岡県280人、北海道223人、東京都197人、秋田県119人、埼玉県68人、千葉県65人、大分県56人、大阪府54人、熊本県36人の順で多く、ほぼ全都道府県で患者が出ている。

 一昨年から2年続きで麻疹が大流行したことで、日本の予防接種体制が国際的に見て水準以下にある実態が深刻にとらえられるようになった。一昨年からそれまで一回だけだった接種が、MR(麻疹、風疹の混合)ワクチンとして1歳時と、小学校就学の前1年間内の2回行う定期接種に変わっている。さらに今年4月1日からは5年間の期限付きで、小学2年生と高校2年生も定期予防接種の対象に加える措置がとられる。

 五十嵐隆・東京大学医学部教授によると、一昨年、昨年の春から初夏にかけて10代、20代の青年を中心に多数の麻疹患者が発生したのは、過去の麻疹予防接種の接種率が低かったため。日本の予防接種体制が国際標準以下であることから「日本人の子どもが米国の小学校に入学する際、日本で行った予防接種では入学を認めてもらえず、複数の予防接種を入学前に受けなくてはならない」といった事態が起きている、と五十嵐教授は指摘している(27日オピニオン・五十嵐隆氏「世界標準に及ばない予防接種体制」参照)。

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