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アホウドリの移住作戦始まる

掲載日:2008年2月22日

伊豆諸島鳥島と尖閣諸島にしか生息していないアホウドリを絶滅から守るため、鳥島から小笠原群島聟島にヒナを移住させる試みが始まった。

この移住作戦は、山階鳥類研究所が米国魚類野生生物局と環境省の支援を受けて進めている。19日に山階鳥類研究所の研究員が鳥島で生後40日程度のヒナ10羽を捕獲、すぐに移送用の箱に入れて350キロ南の聟島までヘリコプターで輸送した。ヘリコプターから降ろしたヒナを約30分かけて放鳥場所である島の西端まで運び、放した。鳥島をヘリコプターで飛び立ってから放鳥まで3時間半を要する移送作業となった。

山階鳥類研究所によると、アホウドリは、150年ほど前には北西太平洋の島々に分布しており、聟島も繁殖地の一つだった。当時は少なくとも数十万羽いたと考えられているが、19世紀後半から20世紀前半にかけて人間が羽毛を採取するために乱獲した結果、一時は絶滅寸前まで追い込まれたこともある。現在、尖閣諸島の南小島と北小島には、300~350羽程度しかいなく、2,000羽まで戻ったと推定されている生息数の大部分は鳥島にいると見られている。鳥島は火山島であるため噴火が起きると再び絶滅の危機に瀕することから、繁殖地を増やすことを狙い、火山島でない聟島が移住先に選ばれた。

アホウドリは、夏の間は繁殖地の島を離れて海の上で生活し、アリューシャン列島方面に移動、一部はアラスカ、カナダからカリフォルニア沿岸にも達することが知られている。成鳥は、秋に繁殖地の島に戻って冬に子育てをするが、5歳程度までの若い鳥は島には戻らず魚類を餌に1年中海上で暮らす。今回と同様の移住作戦を5年間続け、まず今年巣立つ移住ヒナ1期生が、おとなになって再び島に戻ってくるのを山階鳥類研究所の研究員たちは期待している。

放鳥されるヒナ
(19日聟島で、後方に見えるのはアホウドリのデコイ)
初めて餌を与えられるヒナ
(20日聟島で、後方に見えるのはアホウドリのデコイ)
放鳥されるヒナ 初めて餌を与えられるヒナ
(提供:山階鳥類研究所)
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