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光るナノチューブ開発 薬効研究に応用期待

2007.09.19

赤、橙、黄、青に発光する有機ナノチューブ (提供:産業技術総合研究所)

 医療、食品などさまざまな分野での応用が期待されている有機ナノチューブに蛍光物質を結合させ、光るナノチューブを作り出す方法を産業技術総合研究所の研究チームが開発した。生体内で薬物の移動状況が簡単に観察できる方法などへの応用が期待されている。

 浅川真澄・産業技術総合研究所主任研究員らが用いた材料は、同研究所で2006年に開発された量産型有機ナノチューブで、ブドウ糖とオリーブオイルに豊富に含まれるオレイン酸を原料に合成された。内径90ナノメートル(ナノは十億分の1)、外径300ナノメートル、長さ10〜100マイクロメートル(マイクロは百万分の1)という超微細チューブ構造をしている。同研究所は、実用化を目標に「オーガニックナノチューブAIST」の名称で商標登録している。

 光るナノチューブは、この「オーガニックナノチューブAIST」をつくる際、市販の安価な蛍光材料を添加するだけで、簡単に製造できる。蛍光材料を変えることで、赤、橙、黄、青の4色のナノチューブを作り出せる。

 正常な細胞を痛めず患部にだけ作用するがんの薬など、薬物を「体内の必要な部位に」、「必要な量を」、「必要な時間だけ」送り込む「薬物送達システム」が求められている。「光るナノチューブ」は、蛍光材料を取り込んでいるものの中空構造など「オーガニックナノチューブAIST」の持つ特徴は変わらない。中空構造内に薬剤などを取り込み、生体内での挙動を調べる「薬物送達システム」の研究開発などに役立つ、と研究チームは期待している。

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