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表に出ない大学の知的貢献明らかに

2007.09.12

 大学の研究者が得た特許の95%が研究者個人や企業に帰属しており、大学、技術移転機関(TLO)帰属は5%にすぎないことが、科学技術政策研究所が東北大学を対象に行った調査で明らかになった。

 大学やTLOが持つ特許の数は、その大学の実力を評価する指標の一つになっている。しかし、実際にはデータに表れない個人帰属の特許が多いこと、さらに大学の研究者は権利者としてではなく、発明者として知的財産を創り出すことで社会に貢献している実態を明らかにした調査結果として注目される。

 調査結果によると、1993年から2004年に東北大が関連した特許は3,627件に上った。同大学の研究者は、法人化される以前から活発に特許出願活動に貢献していたことを裏付けている。東北大学の関連特許の多い領域は「合金・材料領域」と「半導体領域」で、特に「非晶質合金」で、特許の占有率が高いことが明らかになった。

 研究者別にみると、関連した特許の多い上位30人(一位は681件)で半数以上の2,087件を占めている。ただし、これら上位30人に含まれない研究者の特許出願数は1999年以降大きく増加しており、全体を押し上げる役割を果たしている。大学等技術移転促進法(TLO法)が98年に施行され、産学活力再生特別措置法(日本版バイドール法)が、99年に施行されたことが、それまで特許出願をしていなかったり、出願件数が少なかった研究者たちに大きな影響を与えた、と科学技術政策研究所はみている。

 2004年4月の法人化後、国立大学からの特許出願は一部を除いて原則機関帰属となっている。この種の調査を東北大学以外でも行い、各大学の特徴を明らかにすれば、それぞれの大学の知的戦略に役立つと同研究所は言っている。

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