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貧血でお茶好きの人に朗報

2007.09.10

 新しいナノ物質として注目されているカーボンナノケージを飲む前のお茶に添加するだけで、貧血の人にはよくない成分であるタンニンを除去してしまうことを、物質・材料研究機構のアジャヤン・ヴィヌー主任研究員が発見した。

 お茶の中には、健康によいフェノール類が含まれている。例えば、カテキンには、抗酸化作用、コレステロール低下作用、血圧上昇抑制作用などの効果があるといわれている。また、タンニンは、さまざまな抗菌作用を持つという重要な利点がある。ところが、タンニンには、鉄の吸収を阻害する性質もあり、貧血に悩む人にとっては逆にない方がよい。

 ヴィヌー主任研究員は、カテキンとタンニンの入った混合液にカーボンナノケージの粉末を入れて、かき混ぜるだけで、カテキンに比べサイズが大きいタンニンだけをほぼ100%カーボンナノケージに吸着、沈殿させてしまうことを確かめた。

 環境を害するような物質は一切使わず、だれでも簡単に貧血気味の人に優しいお茶をつくることが可能。さらに、抗菌作用の強い成分であるタンニンを回収し、利用する方法としても有用、とヴィヌー主任研究員らは言っている。

 カーボンナノケージは、ナノ(10億分の1)メートルという極微のサイズのかご型構造を持つ炭素でできた物質。ヴィヌー主任研究員が、同機構・超分子グループの有賀克彦グループリーダーらと開発し、同機構から「機構発参考物質第2号」として一般に無償頒布されている。

 タンニンを簡単に除去できる性質は、従来の材料にはない大きな表面積を持つというカーボンナノケージの特徴に起因する。同じ炭素から成る活性炭に比べて2倍の比表面積があるため、それだけ吸着能力も大きい。

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