ニュース

環境、生体にやさしい軟プラスチック材

2007.06.21

 植物を原料とし環境への影響の心配が少ないプラスチックの開発に、日本原子力研究開発機構と住友電工ファインポリマー株式会社の研究チームが成功した。

 新しいプラスチックは、デンプンを醗酵して得られる乳酸を原料とするもので、上下水道パイプ、電線被覆(絶縁材)、自動車・家電のパーツ、農工業設備資材からラップフィルム、合成皮革、文房具など幅広い用途のある軟らかいプラスチック材料として応用が期待される。

 プラスチック材として現在、大量に使われている塩化ビニル樹脂は、そのままでは硬くてもろいため可塑剤を入れて柔軟性を持たせた材料として使われることが多い。乳酸からつくられるプラスチック(ポリ乳酸)は、透明で焼却時にダイオキシンなどの有害物を出さず、植物からつくられるために温暖化対策上も優れた長所を持っている。一方、塩化ビニル樹脂同様そのままでは硬くてもろく、また60℃で変形して元に戻らない弱点があり、さらにこの対策として可塑剤を入れても時間がたつと可塑剤が外にしみ出して来るという問題も抱えていた。

 研究チームは、ポリ乳酸に放射線をあてて分子同士の結びつきを強める方法により、可塑材が外部に染み出しにくくすることにも成功した。柔軟性をもつポリ乳酸は、これまで塩化ビニル樹脂が使われていた用途に加え、生体への適合性も持つ性質を生かし、カテーテルのような医療器具への応用も期待できるという。

ページトップへ