ニュース

免疫細胞作り出す酵素発見

2007.06.01

 さまざまな病原体やがん細胞を攻撃するキラーT細胞をつくりだすのに重要な役割を果たす酵素とその働きが、科学技術振興機構の研究事業(研究者・村田茂穂東京都臨床医学総合研究所主席研究員)によって突き止められた。

 胸腺プロテアソームと名付けられた酵素は、胸腺の中で、自分の作り出すタンパクを通常とは異なる方法で切断して細胞表面に提示することにより、未成熟なT細胞から、体の中に侵入してくる異物を認識して攻撃できるキラーT細胞のセット「T細胞レパートリー」をつくりだすのに不可欠の役割を果たすことが分かった。

 多様なT細胞の中から、外敵ではなく自分の身体の成分と強く反応してしまう細胞を消し去る仕組みについてはこれまで知られていたが、今回明らかになった、有用なT細胞のみを生存させる仕組みについては分かっていなかった。

 今回の研究成果を基に、慢性関節リウマチをはじめとする自己免疫疾患やぜんそく、花粉症などのアレルギー疾患、さらには癌ワクチン療法などの研究が進むと期待されている。

ページトップへ