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長寿命放射性核種の短寿命化にめどつける成果

2007.02.08

 原子力発電のもっとも厄介な問題ともいわれる使用済み燃料中の長寿命放射性核種を、短寿命ないし安定な核種に変えてしまう技術の実現につながる実験成果が、日本、米国、欧州の共同実験で得られた。

 日本の参加機関である日本原子力研究開発機構は、技術の実現に向けて大きく前進する成果、と言っている。

 原子力発電で使用した後の燃料中には、ネプツニウム、アメリシウム、キュリウムなどマイナーアクチニドと呼ばれる核種が含まれる。これらの中には数万年後になっても高い放射能を持ち続ける核種があることから、長寿命の放射性核種を短寿命の放射性核種ないし安定な核種に変えてしまう技術の開発が、各国共通の関心事になっている(インタビュー「原子力ルネッサンス−ウランのリサイクルに再び脚光」参照)。

 共同実験は、スイスのポール・シェラー研究所で行われた。この技術の実現には、大強度の中性子を作り出す強力中性子源の開発が不可欠になる。長寿命の放射性核種を破壊してしまうためだ。

 実験では、この強力中性子源の有力な候補と考えられている液体重金属(鉛ビスマス)に、高速度に加速した陽子を当てた結果、計算通りの強力な中性子を発生させることに成功した。

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