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ノーベル賞学者が語る新“原器”

掲載日:2008年6月17日

日経サイエンス7月号 宇宙の歴史が消える日
  • 太陽光をプリズムに通してスクリーンに映すと、虹を切り取ったような7色の光の帯が現れる。プリズムは光を波長ごとに分けて表示する働きがある。太陽光が7色の帯になるのは、太陽光には可視光の全波長の光が含まれているからだ。

    一方、レーザー光は特定波長の光なので、連続したレーザー光をプリズムに通したとしても光の帯にはならず、1本の線としてしかスクリーンには映らない。ところが、レーザー光の超短パルスを非常に短い時間間隔で送り出したものをプリズムに通すと今度は、光の線が等間隔に並んだ7色の櫛の歯のような模様が現れる。これを光コムという。コムとは英語で櫛のことだ。

    この光コムの登場によって、人類はこれまでよりはるかに精密かつ簡単に時間を測ったり、光の周波数を特定できるようになりつつある。1967年以来、原子時計が世界の時間標準だが、光コムを時計として使うと、その時間精度は原子時計を上回る。

    現代文明では時間や長さがマイクロ(100万分の1)やナノ(10億分の1)というスケールで決められている。光コムは、さらに高度化する21世紀文明の“原器”としての役割が期待されている。

    また、光コムを構成する櫛の歯のような光は、その1本1本がきわめて精確に周波数が定まったレーザー光。つまり光コムは、超高品質レーザー光を膨大な数、束ねたようなもので、通信や計測、分析などに大きな威力を発揮するようになるとみられている。

    光コム研究の3人のパイオニアは2005年にノーベル物理学賞を受賞した。著者の1人であるJ. ホール博士はその1人。この記事では、ノーベル賞学者当人が光コム実現までの苦心談や将来への夢を語っている。

 

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