広く知りたい - 科学技術の最新情報サイト「サイエンスポータル」 https://scienceportal.jst.go.jp Fri, 08 Aug 2025 05:57:35 +0000 ja hourly 1 ペルセウス座流星群、惑星、皆既月食…盛夏~初秋の気になる星空 https://scienceportal.jst.go.jp/gateway/clip/20250808_g01/ Fri, 08 Aug 2025 05:56:51 +0000 https://scienceportal.jst.go.jp/?post_type=gateway&p=54783  夏休みの旅行やお盆の帰省で、美しい星空を見上げられる時節となった。今月は定番のペルセウス座流星群のほか、惑星たちの面白い動きが注目される。秋口には3年ぶりの皆既月食もある。天文ファンならずとも好天の日には気温や安全、マナーに注意しつつ、宇宙を体感するひとときを過ごしては。

天の川を横目に、輝くペルセウス座流星群(やや右下の光跡)=2020年8月、沖縄県石垣市(国立天文台提供)
天の川を横目に、輝くペルセウス座流星群(やや右下の光跡)=2020年8月、沖縄県石垣市(国立天文台提供)

はかなさにこそ、味わいのある流星

 ペルセウス座流星群は、流星(流れ星)が特に多く現れる三大流星群の一つ。国立天文台によると、今年は13日午前5時頃、発生のピーク「極大」になると予想される。ただこの時間帯には、もう空が明るい。多く見えるのは、その前の12日深夜から13日未明になりそうだ。東京では13日午前3時台に最も多くなると見込まれ、空の暗い場所なら1時間あたり30個ほど。また、前日12日の同時間帯に同15個ほど、翌14日に20個ほどの予想だ。月明かりのせいで例年より見えにくいため、なるべく月から離れた北寄りの空を眺めるのがコツかもしれない。

 同じ◯◯座流星群でも、極大の時刻や月明かりなどとの兼ね合いで、年により条件は変わる。ペルセウス座流星群が次に好条件となるのは2029年という。実際にどの程度観察できるかは、場所や気象条件、熟練度、視力などによる。極大予想からずれた時間に、予想外に多く出現することもある。

ペルセウス座流星群。流星が四方八方に流れるが、それらの光跡をさかのぼるとペルセウス座付近の放射点に集まる(国立天文台提供)
ペルセウス座流星群。流星が四方八方に流れるが、それらの光跡をさかのぼるとペルセウス座付近の放射点に集まる(国立天文台提供)

 流星は、宇宙空間のチリが地球の大気圏に突入して燃え尽きる際、成分が光って夜空に筋を描く現象。彗星(すいせい=ほうき星)の通り道に多くのチリが帯状に残されており、地球が毎年そこにさしかかる際に大気に飛び込んで、流星が多発する流星群が起こる。つまり、地球がチリの帯を通り、流星群が起こる時期は毎年決まっている。チリを残した天体「母天体」はペルセウス座流星群の場合、スイフト・タットル彗星だ。

 それぞれの流星群には、流星が四方八方へと飛び出していく源のように見える空の一点「放射点」がある。個々の流星の光跡をさかのぼって延長すると、放射点に集まる。流星群の名は主に、放射点が位置する星座に由来する。ペルセウス座流星群の放射点は、ペルセウス座付近にある。

 一つ一つの流星がいつ、空のどこに出るかは全く予測できない。なるべく空が暗く開けた場所で、肉眼で観察する。問題ない場所なら、シートを敷いて寝転ぶと観察しやすい。流星は突然で一瞬の現象だが、その“はかなさ”にこそ味わいがある。夏の思い出にできたら素敵だ。

 ちなみに、ペルセウスはギリシャ神話の勇士。髪の毛がヘビでできた怪物「メドゥーサ」を倒し、その帰り道には海の怪物に襲われている娘「アンドロメダ」を救い結婚した。そのアンドロメダは古代エチオピアの王「ケフェウス」と女王「カシオペヤ」の娘。実際、星空ではこれら4つの星座が隣接しており、こうした物語を知って眺めると楽しみが深まる。

金星と木星、月と土星、水星…にぎやかに

 今年はペルセウス座流星群の時期に、地上からの見かけ上、互いに極めて接近する2つの惑星にも注目したい。11~13日の日の出前に東の空で輝く「明けの明星」金星が、木星と接近する。それぞれマイナス4.0等級、マイナス1.9等級と明るい。

金星と木星が見かけ上、接近する(国立天文台提供)
金星と木星が見かけ上、接近する(国立天文台提供)

 また12日夜から13日未明にかけて、月と土星が並んで見える。東京で午後8時半頃、明るさ0.7等級の土星が東の空に昇ってくる。10時頃以降、土星のすぐ近くで、満月を過ぎた月が輝くという。

惑星と地球との位置関係には「西方最大離角」をはじめ、さまざまな呼び方がある(国立天文台提供)
惑星と地球との位置関係には「西方最大離角」をはじめ、さまざまな呼び方がある(国立天文台提供)

 19日、水星が「西方最大離角」になる。水星は太陽系の最も内側の惑星で、地球上のわれわれが見られるのは、太陽から見かけ上、最も離れた「最大離角」の前後に限られる。惑星が太陽の西側に見える時が西方最大離角で、明け方の東の空にある。観察するには、東の空がよく開けた場所を選びたい。東京では17~24日の日の出の30分前に、高度が10度を超えて見つけやすいという。

 29日は旧暦7月7日にあたり、「伝統的七夕」(旧七夕)と呼ばれる。伝統的七夕の日は年により変わる。現在の7月7日は例年、多くの地域でまだ梅雨が明けていないが、伝統的七夕の空なら織姫と彦星を見つけられるかもしれない。ともに1等星で、織姫はこと座のベガ、彦星はわし座のアルタイル。両者をはくちょう座のデネブと結ぶのが、学校でも習う夏の大三角だ。スマホを空に向けると星座や星の位置が分かるアプリを使えば、初心者でも星を探しやすい。

3年ぶりの皆既月食、全国で

 9月8日には、全国で3年ぶりに皆既月食が見られる。午前1時27分に欠け始め、2時半~3時53分に完全に月が地球の影に入る皆既となり、4時57分に食が終わる。

来月8日の皆既月食(国立天文台提供)
来月8日の皆既月食(国立天文台提供)

 月食は太陽光が当たる地球の影の中を月が通過することで、地球から月が欠けて見える現象。太陽と地球、月が一直線に並ぶ満月の時に起きる。ただし地球から見た月の通り道(白道)が太陽の通り道(黄道)に対し少しずれているため、満月は地球の影からずれた所を通ることが多い。このため、満月の度に月食が起こるわけではない。

赤みを帯びた過去の皆既月食(国立天文台提供)
赤みを帯びた過去の皆既月食(国立天文台提供)

 太陽が欠けて見える日食では、月が地球に落とす影の範囲が限られるため、観察できる地域は限られる。これに対し月食は、月面に地球の影が落ちる現象であり、発生時間帯に月が見える場所ならどこでも見える。

 皆既月食では月が地球の影に完全に入り込むが、真っ黒で見えなくなるのではなく、赤銅色などと呼ばれる赤みを帯びる。夕日が赤いのと同様、太陽光のうち波長の長い赤い光が散乱しにくく地球の大気を通過するためだ。またこの大気がレンズのようになって太陽光を屈折させるため、赤い光が皆既食中の月面を照らす。大気中のチリの量などにより毎回異なる微妙な色合いが、皆既月食の見どころの一つとなる。さて、今回は?

 なお9月2日は、北陸から北関東などにかけて皆既日食が見られる2035年までちょうど10年の日だ。筆者は子供の頃に児童書でこの情報に触れ、「還暦を過ぎる」と思いつつ、ずっと好天を祈っている。

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ウミウシは何を盗むのか?盗葉緑体と自切行動の謎 https://scienceportal.jst.go.jp/gateway/videonews/m240001018/ Fri, 01 Aug 2025 06:03:12 +0000 https://scienceportal.jst.go.jp/?post_type=gateway&p=54729  沖縄県八重山諸島の西表島。マングローブの森に分け入る2人の研究者がいます。海の水が引いた小さな水たまりの中で探しているのは、嚢舌(のうぜつ)類と呼ばれるウミウシの仲間です。今回は、その謎に満ちた生態に迫ります。

再生時間:5分 制作年:2025年

出演・協力機関

保田海(奈良女子大学 博士課程)
三藤清香(奈良女子大学 特任助教)
遊佐陽一(奈良女子大学 教授)

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カムチャツカ半島付近でM8.7の巨大地震 22都道府県に津波到達し、一時200万人以上が避難など大きな影響 https://scienceportal.jst.go.jp/gateway/clip/20250731_g01/ Thu, 31 Jul 2025 07:27:31 +0000 https://scienceportal.jst.go.jp/?post_type=gateway&p=54718  ロシア・カムチャツカ半島付近で30日朝、巨大地震が発生し、日本の太平洋側の広い地域に津波が周期的に到達した。猛暑の中、一時200万人以上が避難。同日夜まで津波警報が続いた。日本からかなり離れた「遠地地震」で警報が発表されたのは15年ぶりだ。各地の交通やコンビニ・小売店の営業などさまざまなサービスのほか、夏休み期間中の観光や旅行客にも影響が出た。避難の仕方に問題はなかったかなどを自治体ごとに検証し、今後の地震防災に生かす必要がある。

カムチャツカ半島沖での今回の巨大地震の震央の位置(赤い丸)などを示す地図(気象庁提供)
カムチャツカ半島沖での今回の巨大地震の震央の位置(赤い丸)などを示す地図(気象庁提供)

 気象庁によると、30日午前8時25分ごろ発生した地震の震源はカムチャツカ半島南東沖の深さ20.7キロで、規模はマグニチュード(M)8.7。同庁は当初、規模をM8.0と推定して同37分に太平洋側の広い地域に津波注意報を発表した。その後M8.7に修正し、同9時40分に注意報を警報に引き上げた。警報の対象は北海道から和歌山県までの太平洋側で、注意報はオホーツク海沿岸や四国、九州・沖縄にも及んだ。同庁は午後8時45分までに警報を全て解除し、注意報に切り替えた。さらに31日午後4時30分、注意報を全て解除した。この地震で北海道釧路市などでは震度2を観測した。

津波警報と津波注意報の発表状況(気象庁提供)
津波警報と津波注意報の発表状況(気象庁提供)

首都圏では鉄道ダイヤに大幅な乱れ

 気象庁の発表では、30日午後には岩手県の久慈港で1.3メートルの津波を記録。北海道根室市と青森県八戸市、東京都の八丈島で80センチ、宮城県石巻市で70センチ、東京湾に面した東京都中央区の晴海でも20センチを観測した。津波は北海道、青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉、東京、神奈川、静岡、愛知、三重、大阪、兵庫、和歌山、徳島、愛媛、高知、大分、宮崎、鹿児島、沖縄の計22都道府県に到達した。

 同庁の担当者は午前の記者会見で、沿岸部や川沿いにいる住民らに直ちに高い場所に避難するよう呼びかけた。また津波の第1波より後に高い波が来ることがあるとし、津波警報解除まで避難の継続を求めた。

気象庁が30日午前に出した津波第1波の到達予測時刻図。実際にはこの想定到達時間の後にも周期的に津波が到達した(気象庁提供)
気象庁が30日午前に出した津波第1波の到達予測時刻図。実際にはこの想定到達時間の後にも周期的に津波が到達した(気象庁提供)

 各地の自治体から避難指示が出され、総務省消防庁によると、全国の自治体が出した「避難指示」の対象者は一時200万人以上に上った。広範囲にわたり、多くの人が猛暑の中で避難を余儀なくされた。政府は30日午前、首相官邸危機管理センターに官邸連絡室を設置した。石破茂首相は緊急の記者会見をし、「政府一体となって被害防止に全力で取り組むよう指示した。対応に万全を期している」と述べた。

 政府によると、同日中に津波による大きな被害は出ていない。しかし、各地からの報道によると、鉄道や空の便、高速道路にも影響が出た。首都圏では夕方の通勤電車などが運休して鉄道ダイヤが大幅に乱れた。全国の自治体でお年寄りや障がい者を含む住民が順調に避難できたか、混乱はなかったか、などの実態はまだまとまっていないが、課題を整理する必要がある。

 NHKなどのテレビ局は長時間特別番組を組み、各地の住民らが炎天下の高台へ避難し、夏休み期間中の多くの海水浴場も閉鎖が相次いだ、などと伝えた。また東日本大震災の東北各県の被災地にも緊張が走り、炎天下の高台などに避難する様子を伝えた。

北海道や青森県で到達した津波の波形図(気象庁提供)
北海道や青森県で到達した津波の波形図(気象庁提供)

逆断層型で、付近では過去何度も大地震

 気象庁によると、津波警報の発表は2024年4月に台湾付近で発生した大地震以来で、海外の遠地で起きた地震による警報は10年2月のチリ地震以来。内閣府によると、1952年に発生したカムチャツカ半島沖地震はM9.0で、2~5時間たって北海道から本州の太平洋側に津波が到達した。東北地方の三陸海岸に最大3メートルを記録し、約1200軒の家屋が浸水する被害があった。

 今回巨大地震が起きたカムチャツカ半島沖は、海側の太平洋プレートが陸側の北米プレートの下に沈み込んでいる。過去、2011年の東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖大地震と同じ海溝型地震だ。世界的にも地震活動が活発な地域として知られる。

 米地質調査所(USGS)によると、この付近は太平洋プレートが北米プレートに対して西北西方向に年間80ミリというゆっくりした速度で移動している。今回の巨大地震は西北西方向に圧力がかかって跳ね返った逆断層型地震だという。

 USGSは、この日の巨大地震は東北地方太平洋沖大地震以来の世界最大規模の地震で、1900年以降世界で発生した大地震の中でも上位10以内に入るとしている。この日の地震に先立ってM5.0以上の地震が50回発生し、7月20日のM7.4の地震と3回のM6.6の地震が含まれていた。

カムチャツカ半島沖の過去の大きな地震。赤い星印は30日の震央の位置(USGS提供)
カムチャツカ半島沖の過去の大きな地震。赤い星印は30日の震央の位置(USGS提供)

今後の海面変動に注意を

 これまでカムチャツカ半島沖には「天皇海山列」と呼ばれる海底の地形があることが知られていた。東北大学災害科学国際研究所の今村文彦教授(副学長)によると、今回地震の震源から直接届く津波だけでなく、プレート境界の逆断層面からほぼ直角に出た津波が天皇海山列などで反射。反射した波が複雑に重なって異なった方向から津波が長時間にわたって押し寄せる。そしてこうした津波は浅瀬では流れが強くなるが遅くなる。そして後ろから速い波が追い越して高さが増したりする、という。

 今村教授はまた「今回の地震による津波は収束していくだろうが、津波注意報が解除されても20~30センチ程度の海面変動はかなり残る」と指摘し、海で作業する人に注意を呼びかけている。また「2004年のスマトラ島沖地震や東北地方太平洋地震以降、巨大地震の活動期に入っているとみられ、あらゆる所で警戒が必要だ」と話している。

今村文彦教授
今村文彦教授
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少年よ「大石」を抱け 幼少期から化石マニアの研究者 地元愛知で1800万年前の海草化石発見 https://scienceportal.jst.go.jp/gateway/clip/20250729_g01/ Tue, 29 Jul 2025 04:46:59 +0000 https://scienceportal.jst.go.jp/?post_type=gateway&p=54690  食事中になんとなく化石図録を見ていたら、記載の誤りに気が付いた――。北海道大学大学院理学研究院の山田敏弘教授(古植物学)は、愛知県南知多町で報告された化石が、1800万年前の海草化石であることを報告した。海草の化石は組織が柔らかいことから、分解されて残りづらく、完全な形で見つかるのはまれ。今回の図録では動物の一種として記載されていたが、植物にしかない特徴を見つけ、「海草だ」と気が付いたという。

今回見つけたモロザキムカシザングサ(左)とアイチイソハグキの化石(北海道大学提供)
今回見つけたモロザキムカシザングサ(左)とアイチイソハグキの化石(北海道大学提供)

5歳の時に見つけた、地層の宝石

 愛知県出身の山田教授は5歳の頃、両親に「化石を掘ってみたい」と頼んだ。『山田少年』が連れてきてもらったのは岐阜県瑞浪市の浅い海でできた地層。掘ってみると、二枚貝のゲンロクソデガイの化石が採れた。人生で初めての宝物――。山田少年はこれを機に化石掘りのとりこになった。NHKの教育番組で地層や地球科学の学説の一つであるプレートテクトニクスについて取り上げられていると、食い入るように見入った。

愛知県豊田市で約1200万年前の植物化石の採集をしている小学5年生の山田少年(山田敏弘教授提供)
愛知県豊田市で約1200万年前の植物化石の採集をしている小学5年生の山田少年(山田敏弘教授提供)

 中学生になってからは、「化石の推し活」で知り合った男性と熊本県まで遠征し、今は「恐竜の郷」として観光振興を打ち出している御船町に向かった。同町でこぶし2つ分くらいの大きさの石があったので、それを譲り受け、自宅で化石を探した。まず、石を乾燥させた後、バケツに張った水につけてバラバラにしていく。その欠片をふるいにかけ、残ったものの中に化石がないか探していく。

 すると、歯のようなものが出てきた。それをよく観察すると、豊隆(ほうりゅう)と呼ばれる咬む面の凹凸や、周囲のでっぱりがあることが分かり、「魚類や、は虫類の歯ではない」と山田少年は気が付いた。京都大学霊長類研究所(当時)に持ち込むと、「中生代の哺乳類の歯」だと言われた。在籍する大学院生らによる詳しい研究の結果、食虫類(しょくちゅうるい)といわれる、モグラのような形の生き物の歯だと分かった。中生代の哺乳類化石が見つかったのは日本で初めて。山田少年はますます化石に夢中になり、週末は化石掘りにいそしんだ。

アルゼンチンとチリの両国が領土を隔てる南米のフエゴ島での植物化石調査の様子(2007年、山田敏弘教授提供)
アルゼンチンとチリの両国が領土を隔てる南米のフエゴ島での植物化石調査の様子(2007年、山田敏弘教授提供)

 中高生の間に日本のジュラ紀の貝の化石をコンプリート(制覇)し、タンスの引き出しに系統の分岐順に化石を収納していく通称『タンスコレクション』も作った。しかし、推し活に夢中になりすぎるがあまり、大学受験は一浪することに。浪人中は石のことは忘れ、「石にかじりつくように」勉強し、京大に合格できた。大学に入っても化石掘りざんまい。卒後も好きを追求して研究の道に進み、日本国内のみならず、ベトナムのハザン省ドンバン県などまで出かけている。

二枚貝のタンスコレクション。大小様々な貝が系統ごとに並ぶ(山田敏弘教授提供)
二枚貝のタンスコレクション。大小様々な貝が系統ごとに並ぶ(山田敏弘教授提供)

コロナ禍、黙々と地層に通う

 岐阜県から愛知県にかけての土地は、南に行くほど深い海が広がっていたとされる。愛知県南知多町の農地は海底が隆起したもので、特に同町師崎(もろざき)地区は、約1800万年前の前期中新世の地層が広がる。この周辺の化石を図録にした『師崎層群の化石』(東海化石研究会編、1993年発行)という本があり、2020年に山田教授が食事をしながら眺めていると、「分類できない化石」というページに目がとまった。

 この本に掲載されている標本は高校生の頃に見ていた。しかし改めて「ユムシ?」「ウミエラ?」と書かれていた化石の写真をまじまじと見たところ、小舌(しょうぜつ)という葉の基底部の張り出しの有無や、数枚の葉が一つに束ねられた短枝(たんし)という構造があることなどから、「これはユムシとウミエラではないのでは」と思うようになった。ユムシは今でも釣りのエサとして用いられており、太いミミズのような形をしている。

 旧知の標本の持ち主に連絡を取って送ってもらい、実体顕微鏡で細かく観察した。モロザキムカシザングサと後に新種記載した標本は、短枝の部分に繊維質の葉鞘(ようしょう)という茎を包み込むような葉っぱの形態が確認できた。アイチイソハグキと新種記載した標本にはコケムシやカキの化石が付着している上、葉の縁にギザギザ模様がない。高校生の頃はユムシだと思っていたが、どちらも新種の海草だと分かった。

師崎層群では、深海魚の化石も見つかっている(2022年、山田敏弘教授提供)
師崎層群では、深海魚の化石も見つかっている(2022年、山田敏弘教授提供)

 この頃は新型コロナウイルスが流行していた。大阪公立大学にいた山田教授は、元々化石掘りは人と会う作業ではないが、念のため自家用車を用いて愛知県に出向いた。師崎層群を掘ってみたところ、モロザキムカシザングサとアイチイソハグキの化石が見つかり、新種として報告した。モロザキムカシザングサの「ザングサ」は沖縄の方言で藻場の藻を指すことから名付けた。一連の成果は、オランダの学術誌「アクアティック ボタニー」電子版に6月1日に掲載された。

愛知県南知多町豊浜にある海草の化石を含む地層。豊浜は漁業が盛んな地域だ(2024年、山田敏弘教授提供)
愛知県南知多町豊浜にある海草の化石を含む地層。豊浜は漁業が盛んな地域だ(2024年、山田敏弘教授提供)

今の種につながる海草の化石 ミッシング・リンク

 海草は浅い海に生息し、熱帯域が分布の中心となる。動物のエサやすみかになるだけでなく、二酸化炭素を固定する役割を持つ。海草は白亜紀の終わり頃である約8100万年前までに出現したことが分かっているが、発見例はまれ。海草が生きたまま泥に埋まり、酸素が遮断された状態になり、分解が進まないといういくつかの条件が重ならない限り、海草の化石はできないからだ。

 また、遺伝子解析から、今の種の祖先は3000万~1000万年前に出現したと考えられているものの、この年代の化石は「ミッシング・リンク」で見つかっていなかった。海草の化石は、ブルーカーボンと呼ばれる海における二酸化炭素固定の状況を明らかにし、地上の環境も推察できる。師崎群層での調査を進めることで、太古の海底の様子を解明することが期待できる。

 山田教授は「ユムシがつぶれるとバナナのような形になり、くびれができるので、海草ではないと勘違いしてもおかしくない。しかし、昔は知らなかった植物学を知り、どこで植物の特徴を見分けるかという知識があったから発見に至った」と振り返る。今後は、どういう海草が分布していたかという実態や、深い海の生態の様子について調べていきたいという。

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北海道夕張市で、体よりも大きな石を割ってホッと一息つく山田教授(2024年、山田敏弘教授提供)

 最後に、化石好きの人々へこんなアドバイスをした。「近所に化石はあると思う。自分で採ることが大切で、採る際には周辺の地層の状況も合わせて考察すると良い。地層がどう押されたのか、引っ張られたのか。掘り出したいものだけでなく、周りも見てから作業する。小さい石は持ち帰れるが、大きな石は石目を見ながら割り、持ち帰るといい」。

 話を伺っている終始、推し(いし?)への愛を語る姿に好きこそものの上手なれ、という言葉は山田教授のためにあるのではないかと感じた。

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月に水を求めて https://scienceportal.jst.go.jp/gateway/videonews/m240001017/ Fri, 25 Jul 2025 07:02:33 +0000 https://scienceportal.jst.go.jp/?post_type=gateway&p=54673  月に水が存在することが、多くの証拠から信じられています。しかしどこにどれくらい存在しているかは、はっきりしていません。月に水を求める研究と宇宙開発の現場を訪ねました。

再生時間:5分 制作年:2025年

出演・協力機関

仲内悠祐(立命館大学 総合科学技術研究機構 助教)

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「日本はできると宇宙で示し、明るい未来へ」油井さん、ISS滞在控え語る https://scienceportal.jst.go.jp/gateway/clip/20250724_g01/ Thu, 24 Jul 2025 06:33:31 +0000 https://scienceportal.jst.go.jp/?post_type=gateway&p=54653  宇宙飛行士の油井亀美也(ゆい・きみや)さん(55)が8月1日、国際宇宙ステーション(ISS)へと出発し、長期滞在を始める。一時帰国中に会見やサイエンスポータルの取材に応じ、「宇宙開発で日本がこれだけできると示し、皆さんに明るい未来を感じてほしい」と意気込みを語った。2015年以来、実に10年ぶりで自身2度目の飛行となる。航空自衛隊テストパイロット出身らしく新型宇宙船への関心が高く、滞在中にも到着する新型物資補給機「HTV-X」については「目の前に現れてくれたら最高」と期待を寄せた。

ISSへの出発を前にサイエンスポータルの取材に応じる油井亀美也さん=東京都千代田区
ISSへの出発を前にサイエンスポータルの取材に応じる油井亀美也さん=東京都千代田区

「明日にもまた」…はや10年

 計画では、油井さんは日本時間8月1日午前1時9分、米スペースX社の宇宙船「クルードラゴン」11号機で、米露の3人と共に出発。ISSの第73、74次長期滞在に参加して約半年にわたり滞在し、日本実験棟「きぼう」の科学実験などを進める。一時帰国中の6月4日に開かれた会見では、冒頭で「前回の帰還後の会見で『明日にでももう一度、宇宙に行きたい』と言ったが、あっという間に10年経ってしまった。訓練は非常に順調だ」と語った。

 今回の飛行のために決めたキャッチコピー(標語)は「明るい未来を信じ、新たに挑む!」。油井さんは、これが社会に漂う“不安”に配慮した言葉であることを明かした。「訓練のため海外で過ごす中で、日本のニュースなどを通じ、将来に不安を持つ方が多いことを心配している。しかし最先端技術が求められる有人宇宙開発で、日本は技術を積み重ね信頼を勝ち取り、世界からすごく期待されている。そこで私がISSで頑張り、成果を残したい。皆さんに日本を素晴らしい国だと誇りにし、未来は明るいと思っていただきたい」

 ISS滞在中に油井さんが行う活動について、SNSのX(旧ツイッター)の自身の投稿にコメントする形で、一般からのリクエストを歓迎するという。「1回目の滞在では分からないことが多かったが、2回目は余裕ができる部分で皆さんに恩返しをしたい。リクエストを遠慮なく言ってください」。採用されるとは限らず、個別の返信も難しいとみられるが、宇宙を身近な空間にしようとの油井さんの意気が感じられる。なお、飛行士の偽アカウントが多く注意したい。

HTV-X迎えたら「涙が出ちゃうんじゃないか」

 滞在中は「きぼう」の実験のみならず、注目が続きそうだ。ISSには同期の大西卓哉さん(49)が滞在中で、4月19日から日本人3人目のISS船長を務めている。大西さんはクルードラゴン10号機で到着しており、8月5日にもISSを離脱するまでの数日ほど、後続の11号機で向かう油井さんと引き継ぎの期間が生じる。計画通りなら2010年、21年に続き、3回目の複数日本人宇宙同時滞在が実現する。「友達と宇宙で待ち合わせるという機会はなかなかなく、非常に楽しみ。2人でできることを考えている」と油井さん。

2024年12月、報道陣に公開されたHTV-X初号機。ISS船内で使う物資を搭載する部分の結合前で、太陽電池パネルは折り畳まれた状態=神奈川県鎌倉市
2024年12月、報道陣に公開されたHTV-X初号機。ISS船内で使う物資を搭載する部分の結合前で、太陽電池パネルは折り畳まれた状態=神奈川県鎌倉市

 最も楽しみなのが、HTV-X初号機という。2009~20年に9機が活躍した宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「こうのとり(HTV)」後継機で、機体構成の合理化を進め、能力を向上させたもの。大型ロケット「H3」で25年度中に打ち上げる計画で、油井さんの滞在中にISSに到着する可能性がある。前回の飛行では、接近したこうのとり5号機をISSのロボットアームで捕捉した。「HTV-X君が目の前に現れてくれたら最高。私は初号機の一部試験に立ち会ったり審査に参加したりした。前回のように優しくキャッチしたい。涙が出ちゃうんじゃないか」。

 前回、担当しなかった船外活動について問われると、「経験した方は『人生が変わるような素晴らしいことだった』とコメントされる。実施は決まっていないが、飛行士の仕事の花形だ」と意欲を見せた。

 ISSは2000年11月2日、米露3人の飛行士によって長期滞在がスタートしており、25周年が油井さんの滞在と重なりそうだ。同日以来、宇宙に必ず誰かがいる状態が四半世紀、続いている。記念日には油井さんら滞在中の飛行士が、メッセージを発信すると期待される。

「人間を感動させられるのは人間」

 個人的に注力したい活動の一つとして、写真撮影を挙げた。「仕事を100%やった上で、余暇に新しい価値を生みたい。前回は多くの写真を、皆さんに気に入っていただけた。今回はさらに役立つ撮影をしたい。具体的には防災科学技術研究所とのコラボレーション(協同)や、私がJAXAの「衛星地球観測コンソーシアム広報アンバサダー(大使)」をやっている関係のことをと、考えている。例えば台風が日本に迫る様子を私が宇宙から撮影し『気を付けてください』とメッセージを添えれば、防災に寄与できるのでは。人工衛星が撮った写真に、言葉を添えて発信することも考えている」

油井さんが前回のISS滞在中、写真に「日本が疾走する馬に見えた」と書き添えた2015年10月のXへの投稿
油井さんが前回のISS滞在中、写真に「日本が疾走する馬に見えた」と書き添えた2015年10月のXへの投稿

 会見で「地上の写真は人工衛星でも撮れる。人間が撮ることの価値は」と問われた。これに油井さんは「私には芸術的センスがあまりない。が、一言添えるだけでも、衛星写真とは違った価値が出るのでは。前回、東北地方から南に向かって日本を斜めに撮ったら、日本が力強く駆けている馬のように見えた。そう書き添えたところ、皆さんの励みになったように感じた」と応じた。2015年10月20日のXへの投稿で、油井さんの感性が光る一枚として話題を呼んだものだ。

 話は人工知能(AI)が進展した未来の、飛行士の存在意義にも及んだ。「私は自信を持って『人間にはこれができる』『人間を感動させられるのは人間だけ』と、説得力のあることを言えなければならない。しっかり情報発信していきたい」とした。

ポストISS「知見、出し惜しみせず支援を」

 次世代の宇宙ステーションに向けた議論は、差し迫ったものとなっている。ISSは運用延長を繰り返し、2030年までが合意済みだ。米国はさらなる延長はせず、同年に運用を終えることを計画。それ以降は、民間企業による新ステーションを、米航空宇宙局(NASA)などの宇宙機関がユーザーとして利用する見込みだ。NASAは26年にかけて、その利用サービスの調達先を選定する。国内でも文部科学省の専門部会などで議論が活発化。複数の日本企業が、基地構想を持つ米企業と提携などを進めている。なおISSは元々、設計上の寿命を30年ごろに迎えるとされていた。

国際宇宙ステーション。2030年に運用を終える運びとなっている(NASA提供)
国際宇宙ステーション。2030年に運用を終える運びとなっている(NASA提供)

 その“ポストISS”について、油井さんは「開発期間が必要で、喫緊に考えないといけない。民間ステーションを造り継続利用するための知見は、ほぼ全て実証できている。各国の宇宙機関が得た知見を出し惜しみせず、チャレンジする企業にどんどん渡して支援することが重要だ」とした。新ステーションはISSのように飛行士が必ずしも常駐せず、可能な無人化を進めるものになりそうだ。飛行士の滞在が望ましいシーンについて、油井さんは「相手のことを思い、話の行間を読むといったリアルタイムのコミュニケーションは、人間でないと難しい。実験の趣旨に合う写真撮影なども、人間の方が効率は良い」と例示した。

 会見で「世界が分断を深めている状況をどう見ているか。ISSにできることは」と質問されると「私は前職が自衛官で、平和に対する思いが強い」と語り、こう続けた。「ISSでは各国の飛行士が、文化や言葉を尊重し合い非常に仲良く平和に、大きな成果を上げている。地上にこの文化を広められれば、地上はより住みやすくなり、人が戦火に苦しむことが最終的にはなくなると思う。例えば『この政府が悪い』『リーダーが悪い』と諦めるのではなく個人ができることをして、相手の文化を敬うことを繰り返していけば、少しずつ良い方向に変わっていく。私がISSに行った時に、お手本を見せたい」

「宇宙船の違い、興味深い」

 今回の長期滞在で焦点となったことの一つに、往復の搭乗機がある。油井さんはかつて未発表ながら、米ボーイング社の宇宙船「スターライナー」の本格運用初号機に搭乗するとみられていた。しかし同機は2024年6月、有人試験飛行の往路でエンジン関連の複数の問題が判明。安全性への懸念から計画を変更し、無人で同9月に帰還した。NASAがトラブルの原因究明や対策の作業を進めている。こうした経過を経て25年3月末、油井さんらがクルードラゴンに乗ることが正式に発表された。

会見する油井さん(左)。右は第73次長期滞在期間にJAXAの実験などの遂行を統括する松崎乃里子インクリメントマネージャ=東京都千代田区
会見する油井さん(左)。右は第73次長期滞在期間にJAXAの実験などの遂行を統括する松崎乃里子インクリメントマネージャ=東京都千代田区

 一連の経緯について、油井さんは次のように説明した。「乗る宇宙船が最終的に決まるまでは、どちらにも対応できるようにしていた。当初はスターライナーで飛ぶ可能性が高いとされ、先行的に訓練した。ただ、有人試験飛行が想定通りには終わらず、私が乗る時期に(本格運用が)間に合わないと分かった。その時点ではどちらに乗るか決まってはいなかった。そこでクルードラゴンに乗る訓練に移行し、今に至る」。油井さんと同乗する米露の3人も、飛行計画の変更を経験しているという。

 こうした経緯も、油井さんは至って前向きに捉えている。「私は本当に運が良かった。設計思想が全く違うスターライナーとクルードラゴンの両方を見られたからだ」。前回の飛行ではロシアのソユーズに搭乗しており、会見では「宇宙船の違いが興味深い」として、3機種の“油井さん視点”の特徴を紹介した。1967年初飛行のソユーズは「信頼性があり、少しずつ改良してきた」、2020年から本格運用中で自動操縦が基本のクルードラゴンは「自動化され、飛行士は地上(管制室)のコントロールをモニターしておけばよい」などとした。

 開発に時間がかかっているスターライナーについては「何かが壊れても対処できるといった具合に、手動で多くのことができる。有人試験飛行でいろいろな不具合が起こっても、設計が良かったからこそISSにドッキングできた。ただ手動でできる部分が多いということは、それだけ高度な訓練が必要で、スペシャリストがいないと飛べないことにもなる」と表現した。

油井さんが搭乗、あるいは訓練を経験した(左から)ソユーズ、クルードラゴン、スターライナー(ソユーズはJAXAとNASA、他はNASA提供)
油井さんが搭乗、あるいは訓練を経験した(左から)ソユーズ、クルードラゴン、スターライナー(ソユーズはJAXAとNASA、他はNASA提供)

飛行士もミスをする、そんな時は…

 会見では「飛行士もミスをする。その対処を含めて見本を示したい」との発言もあった。宇宙でミスはどう取り扱われるのか。

 「緊要なところでは当然、ミスをしてはいけない。しかし私も宇宙で、作業手順を1つ飛ばして進めてしまい、後で気が付いたことなどがある。地上には『すみません、ミスしてしまいました。影響を評価してもらえませんか』と連絡する。ちょっと恥ずかしいが、まずは言う勇気が大切。一方、マネジメントの観点では、ミスしたと言える環境が大事だ。怒られるわけでも、評価が下がるわけでもないから言える。『よく言ってくれた。これでチームが対処できるから問題は大きくならない。素晴らしい』という形で進めねばならない。現に宇宙開発はそういう形で進んでいる。情報共有し原因を考え、対応が広がって次のミスが防げる。地上と全く同じことだ」

前回のISS滞在中、「きぼう」からの超小型衛星放出に成功し喜ぶ油井さん=2015年9月(JAXA、NASA提供)
前回のISS滞在中、「きぼう」からの超小型衛星放出に成功し喜ぶ油井さん=2015年9月(JAXA、NASA提供)

 有人宇宙開発は人智を結集して安全に進めるものだ。とはいえリスクを伴い、最悪の場合は事故死も否定できない。「覚悟は」と油井さんに尋ねた。

 「安全第一が当然の前提だが、それでも危険の度合いがある。(飛行士として)自分で評価しており、『こちらの方が危険度は高いな』『安全のレベルに差があるな』と思いながら仕事をしている。でも、私には人類にとって意義のあることに参加しているという、名誉の価値が大きい。『危険なら私に任せて』くらいの気持ちだ。将来、月へは後輩が行くだろうが、万一危険過ぎて不安があるなら、私が喜んで行きたい」

 油井さんの滞在期間中、JAXAは「きぼう」を活用し、次のような実験を計画している。将来の有人探査に向け、二酸化炭素を除去する技術を確かめる▽無重力で精密機器に生じる誤差を調べる▽飛行士が使う情報端末やカメラ、ドローン型撮影ロボットの作動を確かめる▽無重力が植物の細胞分裂に与える影響を調べる▽火災に備え、無重力での固体材料の燃え方を調べる▽惑星ができた過程を理解するため、コンドリュールと呼ばれる微粒子ができる過程を炉の中で再現する▽融点が2000度以上の物質を炉の中で浮かせて性質を調べる。このほか、国内外の若者のためのロボット競技会や公募実験、大学などの超小型衛星の放出、船外にカメラを晒(さら)しての撮影――なども計画。大半を油井さんが担当するとみられる。

 油井さんは1970年、長野県生まれ。92年、防衛大学校理工学専攻卒業、航空自衛隊入隊。防衛省航空幕僚監部を経て2009年、JAXAの飛行士候補者に選抜された。15年、ISSに約5カ月滞在し、こうのとり5号機をロボットアームで捕捉する作業や、実験装置の設置、多数の実験などを行った。16年11月から23年3月まで、JAXA宇宙飛行士グループ長を務めた。自衛隊入隊後、宇宙飛行士やテストパイロットの生き方を描いた映画「ライトスタッフ」(1983年米)を見て、宇宙飛行士を志すようになったという。

     ◇

大西さん船長任務「後輩育成を意識」

米物資補給機「ドラゴン」のISS離脱前に作業を進める大西さん=5月23日ごろ(JAXA、NASA提供)
米物資補給機「ドラゴン」のISS離脱前に作業を進める大西さん=5月23日ごろ(JAXA、NASA提供)

 ISSに滞在中の大西さんも6月20日、ISSから国内の記者向けに中継で会見した。2016年以来9年ぶり2度目の飛行。自身の体の無重力への適応が早く「感覚を体の細胞の一つ一つが覚えていたと思うくらい、かなり良かった。何年も自転車に乗っていなくてもすぐ乗れるようになるのと同じように、感覚が残っていた」と驚きを示した。

 日本人3人目となったISS船長任務を遂行中。初飛行の飛行士が同時に滞在中であることから「先輩として彼らをどう一人前に育成するか、彼らがまた次世代に知見をしっかりつないでいけるか、意識して業務に臨んでいる」とした。油井さんとISSで過ごすことについては「短期間だが、とても楽しみだ。私が『きぼう』で培った知見をしっかり引き継ぎ、油井さんに良い仕事をしてほしい。日本人同時滞在はなかなかないので、何かしら楽しい企画もできればと2人で相談している」と期待を示した。

 米物資補給機「シグナス」22号機が地上での輸送中に損傷し、飛行中止となった。この影響で、大西さんの滞在中に計画された一部の実験などが延期されている。大西さんは「残念ながら私ができなくなった実験もあるが、幸い同じJAXAの油井さんが引き継いでくれる。私は安心してISSを去れる」と語った。

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コケで火星をテラフォーミング!? https://scienceportal.jst.go.jp/gateway/videonews/m240001016/ Fri, 18 Jul 2025 07:33:04 +0000 https://scienceportal.jst.go.jp/?post_type=gateway&p=54622  地球上のあらゆる場所に生息する「コケ」。なんと、宇宙の別の惑星でも育つかもしれません。人類の月や火星での長期滞在を視野に入れ、コケで宇宙に挑もうとする研究があります。

再生時間:5分 制作年:2025年

出演・協力機関

藤田知道(北海道大学大学院 理学研究院 生物科学部門 教授)

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百日咳患者が累計4万人超で拡大止まらず、リンゴ病も高水準 免疫低下に猛暑も関係か https://scienceportal.jst.go.jp/gateway/clip/20250717_g01/ Thu, 17 Jul 2025 07:40:06 +0000 https://scienceportal.jst.go.jp/?post_type=gateway&p=54614  激しい咳(せき)が続く「百日咳」の感染拡大が止まらない。今年の累計患者数は4万人を超えた。また、子どもの両頰などに赤い発疹が出る伝染性紅斑(リンゴ病)の流行も高水準で続いている。

 厚生労働省や国立健康危機管理研究機構(JIHS)、感染症の専門家は新型コロナウイルス対策で病原体に触れる機会が減って免疫が弱まっていたことに加え、最近の猛暑による体力・免疫力が低下している可能性もあるとして、これら感染症の今夏の拡大に注意を呼びかけている。その新型コロナは感染拡大にはなっていないものの、やや増加傾向でこちらも注意が必要だ。

昨年1年の10倍を超える

 JIHSは7月15日、全国の医療機関から6月30日~7月6日の1週間に報告された百日咳の患者数は3578人(速報値)と発表した。都道府県別では、東京都の277人が最も多く、以下は埼玉県(254人)、群馬県(176人)、神奈川県(171人)の順。1週間当たりの患者数は前週より225人増え、現在の集計法になった2018年以降最多の数値を3週連続で更新し、感染拡大に歯止めがかからない状態となっている。

 JIHSによると、今年の累計患者数は4万3728人。昨年は1年間で同4054人だった。半年余りでこの数字の10倍を超えた計算だ。昨年までで最多だった19年の1万6845人の約2.5倍になっている。重症化しやすく肺炎や脳症で死亡することもある乳幼児の患者の報告も全国で多く続いているという。

 厚生労働省やJIHSによると、百日咳は「百日咳菌」が原因の感染症で感染力が強い。咳やくしゃみによる飛沫(ひまつ)や接触により感染が広がる。7~10日の潜伏期間を経て風邪の症状が現れ、次第に咳が激しくなる。回復まで2~3カ月かかることも多い。子どもの感染が比較的多いが、最近では成人の感染例も増加傾向になる。

 年齢が比較的高い子どもの症状は軽い場合が多く、医療機関でも風邪などと判断されやすい。高熱が出ていないため学校や塾などへ行き、感染を広げてしまうケースが多いようだ。

百日咳菌の電子顕微鏡画像(JIHS提供)
百日咳菌の電子顕微鏡画像(JIHS提供)

乳児の死亡例が複数、耐性菌出現も

 厚労省やJIHSによると、百日咳の全国的な流行で患者の報告数は最近週40人を超え、乳児の死亡報告例も複数あるという。生後6カ月未満は重症化しやすく、せきが目立たない無呼吸発作やけいれん、肺炎や脳症を起こして最悪死亡する。

 乳幼児の感染源のほとんどが家庭内で、親など大人が外から家庭に持ち込まないようにする対策が大切だという。また10代以下は保育園・幼稚園や学校などで拡大するケースが多い。このためこうした施設での感染防止対策、具体的には手洗いの徹底とマスクの着用が大切だ。

 日本小児科学会は3月29日にいち早く「重症例も報告されている」などと注意を呼びかける文書を公表。「ワクチン未接種、もしくは3回接種が完了していない(生後)6カ月未満で重症化しやすいため、生後2カ月を迎えたら速やかに5種混合ワクチン接種が望まれる」などと指摘した。

 同学会はまた、ワクチン接種前の死亡例が確認された、として6月22日に注意喚起の文書を公表した。この中で同学会の予防接種・感染症対策委員会は、主に医療関係者向けに「通常、治療に使われてきたマクロライド系抗菌薬に対する耐性菌の出現が世界中で問題になっている。国内でも耐性菌の頻度が上昇している」として、他の薬剤(ST合剤)との併用投与を検討する必要性を指摘している。

日本小児学会が作成した百日咳ワクチン接種を呼びかけるポスター(日本小児学会提供)
日本小児学会が作成した百日咳ワクチン接種を呼びかけるポスター(日本小児学会提供)

リンゴ病は胎児にも感染

 一方、JIHSによると、リンゴ病は全国の定点医療機関から6月30日~7月6日に速報値で5474人の患者が報告された。1機関当たり2.32人で、感染症法に基づく集計が始まった1999年以降最多だった今年6月16~22日の2.53人に次いで多かった。都道府県別では、大阪府の509人が最も多く、以下北海道(398人)、兵庫県(276人)の順だった。

 厚労省によると、リンゴ病は「パルボウイルスB19」が原因のウイルス感染症。百日咳同様、飛沫や接触で感染する。約10~20日の潜伏期間の後、微熱などの風邪に似た症状がみられる。そして両頰に蝶の羽のような境界鮮明な赤い発疹(紅斑)が現われる。続いて体や手、足に網状やレース状の発疹が広がる。予防ワクチンはない。

 感染患者は5~9歳が最も多く次いで0~4歳が多い。通常1週間程度で回復する場合が多いが、妊婦が初めて感染すると胎児にも感染し、胎児水腫(すいしゅ)などの重篤な状態や流産や死産につながる危険性が指摘されている。厚労省や日本産婦人科学会などは、特に妊娠中の女性らに手洗いやマスク着用などの感染防止対策を呼びかけている。

厚労省がリンゴ病感染対策の注意喚起のために作成したチラシ(厚労省提供)
厚労省がリンゴ病感染対策の注意喚起のために作成したチラシ(厚労省提供)

コロナ感染者数、3週連続して増加

 厚労省は7月11日に、全国の定点医療機関から6月30日~7月6日の1週間に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数が7615人で、1医療機関当たり1.97人になったと発表した。前週比は1.41倍で、1医療機関当たり1人を超えたのは3週連続となり、増加傾向が続いている。

 都道府県別で1機関当たりの感染者数が多かったのは沖縄県の16.36人。次いで山梨県3.26人、千葉県3.11人と続いた。逆に少なかったのは鳥取県(0.55人)、北海道(0.60人)、青森県(0.67人)などで地域差があった。

新型コロナウイルス感染症の入院患者の2025年第27週までの推移。感染者の増加に合せて入院患者も増える傾向にある(厚労省提供)
新型コロナウイルス感染症の入院患者の2025年第27週までの推移。感染者の増加に合せて入院患者も増える傾向にある(厚労省提供)
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生成AIとELSI 法制度とガバナンスをめぐって https://scienceportal.jst.go.jp/gateway/videonews/m240001015/ Fri, 11 Jul 2025 06:48:19 +0000 https://scienceportal.jst.go.jp/?post_type=gateway&p=54566  急速に進歩するAI(人工知能)に対して、社会では一部懸念も表明されています。私たちはこのAIをどのように社会に位置付けるべきか。ELSI(エルシー=倫理的・法的・社会的課題)という観点から考察します。

再生時間:5分 制作年:2025年

出演・協力機関

寺田麻佑(一橋大学大学院 教授)

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トカラ列島で最大震度6弱含む1700回超の群発地震 収束見通せず今後も警戒が必要 https://scienceportal.jst.go.jp/gateway/clip/20250710_g01/ Thu, 10 Jul 2025 07:32:54 +0000 https://scienceportal.jst.go.jp/?post_type=gateway&p=54547  鹿児島県十島村のトカラ列島近海を震源とする群発地震が6月下旬から続いている。7月3日には悪石島で震度6弱の地震が発生し、希望する住民が避難している。震度1以上の地震は9日までに1700回を超えた。政府の地震調査委員会(平田直委員長)は4日に臨時会を開き「当分の間同程度(震度6弱程度)の地震に注意が必要」と警戒を呼びかけた。この地域の群発地震は過去にもあったが、まだ未解明なことも多く、地震収束の見通しは立っていない。

 トカラ列島は火山でできた島々で、鹿児島県の屋久島と奄美大島の間に点在する12島の総称。7つの有人島と5つの無人島がある。悪石島は有人島で周囲約13キロ。 鹿児島県の観光サイトや十島村の公式サイトなどによると、どの島も風光明媚な自然に恵まれ、大和・琉球の両文化の影響を受けて独特な風習も残り、観光スポットとしても知られる。奄美大島や沖縄本島などとともに「琉球弧」と呼ばれる島々の一部をなす。

 ただ、フィリピン海プレート西縁部分が大陸プレートの下に沈み込む「琉球海溝」に沿って並んでいて、地震が多い地域。過去にも地震活動が活発化したことがあり、気象庁によると近年では1995年12月、2000年10月、11年3月、21年12月、23年9月などにも数週間から数カ月群発地震が起きている。

鹿児島県十島村の悪石島の一部。同村の公式サイトの紹介動画から(十島村提供)
鹿児島県十島村の悪石島の一部。同村の公式サイトの紹介動画から(十島村提供)
トカラ列島12島の地図(十島村提供)
トカラ列島12島の地図(十島村提供)
3日午後4時13分ごろ悪石島で発生した地震の震度分図・推計震度分布図(気象庁提供)
3日午後4時13分ごろ悪石島で発生した地震の震度分図・推計震度分布図(気象庁提供)

震度6弱地震は「横ずれ断層型」で島外避難の住民も

 トカラ列島では6月21日から地震活動が活発になって毎日のように地震が頻発して住民らの不安が増していた。そうした中で同日午後4時13分ごろ、悪石島で震度6弱の大きな地震が発生した。震源地は同島の南西約20キロの近海で震源の深さは20キロ、地震の規模はマグニチュード(M)5.5だった。

 鹿児島県や十島村によると、この地震の発生時に島内にいた住民は全員無事だったが、同県は災害救助法適用を決め、同村では小中学生を含む希望者は4日以降鹿児島市に避難している。気象庁は3日の地震発生後に記者会見し、揺れの強かった地域は当分、震度6弱程度の地震と家屋の倒壊や土砂災害にも注意するよう呼びかけた。

 気象庁や地震調査委員会によると、3日の地震は大陸プレート内で発生した北北東―南南西方向に張力軸を持つ「横ずれ断層型」。同委員会は「トカラ列島の悪石島から宝島にかけての領域は火山列の延長上に位置しており、このような火山地域の過去の地震活動の例では一連の活動の中で最大規模の地震と同程度の規模の地震が続いて発生しやすい特徴がある」と指摘した。

 震度6弱には至らなかったものの、やはり悪石島で6日の午後2時1分ごろと、その6分後に続けて震度5強の地震を観測した。一連の頻発する地震は震源が浅いのが特徴だ。

トカラ列島での主な地震活動の地震回数比較。今回の群発地震の多さが際立っている(気象庁提供)
トカラ列島での主な地震活動の地震回数比較。今回の群発地震の多さが際立っている(気象庁提供)
トカラ列島での1919年から2025年7月3日までの主な地震の震央分布図。25年6月以降の地震は赤色で表示(気象庁提供)
トカラ列島での1919年から2025年7月3日までの主な地震の震央分布図。25年6月以降の地震は赤色で表示(気象庁提供)

マグマ活動の可能性も

 トカラ列島近海での地震は過去にもあったことから地震の基本的なメカニズムは分っているものの、観測点が少なかったことなどから未解明なことは多い。これまでの知見で、大陸のプレートの下に沈み込んでいるフィリピン海プレート上の海底には海底大地の「奄美海台」があり、トカラ列島西側の海底にはくぼんだ地形の「沖縄トラフ」がある。プレートに対して押したり、沈み込んだり、と複雑な力が働いて地震が多いことで知られていた。

 フィリピン海プレートの沈み込みは1年間に約6センチの極めてゆっくりした速度だが、大陸のプレート内はひずみがたまりやすいことも知られる。トカラ列島の地下は高熱のマグマが溜まっている。気象庁によると、火山性地震の特徴は観測されておらず、今のところ海底火山噴火の予兆はみられないという。

 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台によると、悪石島の北東に位置する諏訪之瀬島で噴火活動が続いていた御岳は7月6日にも高く噴煙を吹き出した。その高さは最大2000メートルに達し、飛散した噴石は火口付近から最大400メートルに及んだ。その後も噴煙は続いて7日現在、噴火警戒レベルは2になっている。

 一連の群発地震と断続的に活発化していた諏訪之瀬島の噴火活動との間には直接の関係はないとみられるが、地下のマグマの動きも未解明なことは多く、トカラ列島周辺で今後海底噴火を含む激しい火山活動にも警戒が必要だ。

写真はトカラ列島のうち有人島の7島。無人島も合わせると12の島がある(十島村提供)
写真はトカラ列島のうち有人島の7島。無人島も合わせると12の島がある(十島村提供)

複雑な動きの地震活動

 地震調査委員会によると、一連の地震でMが最大だったのは2日午後3時26分に発生した地震でM5.6。6月21日以降、この地震の前までに宝島の観測地点が東北東方向に約2センチ移動しその後、最大規模の地震発生前後には南方向へ約4センチ移動したことが地殻変動の観測データで分っている。

 つまり地殻変動の向きが変化したことになり、同委員会は群発地震としては珍しい現象で、地殻変動の規模も群発地震としては目立って大きいという。平田委員長は「能登半島地震が数年かけて何ミリ、何センチというオーダーだったが、4センチ動いたことは、これはものすごい」と述べ、地殻変動の大きさを強調した。この珍しい現象の原因は分っていないが、列島周辺の地下でマグマの活動が影響した可能性や群発地震そのものと関連している可能性も指摘されている。

 また、1000を超える震源の分析から、震源は6月下旬には主に東側に集中していたが、7月に入ると西側が増え、地震活動の活発化の中心が移ったように見えていた。ただ、3日の最大規模震度6弱の地震は従来の東側のさらに東方で起きているなど、地震活動は複雑な動きを見せている。

 地震調査委員会は一連の地震を「火山地域の地震活動」と位置付けている。ただ、同委員会も詳しい地震メカニズムや群発地震の原因の特定には慎重で「地震活動の終わりの時期を特定することが難しい」として、長期化への備えを呼びかけている。

トカラ列島での6月21日以降7月4日午前10時30分までの震央分布図。6月中は東側が多かったが7月に入ると西側が増えながらも大きな地震は再び東側で起きている(気象庁提供)
トカラ列島での6月21日以降7月4日午前10時30分までの震央分布図。6月中は東側が多かったが7月に入ると西側が増えながらも大きな地震は再び東側で起きている(気象庁提供)

住民は一日も早い収束願うが長期化への備え必要

 トカラ列島近海の一連の群発地震はいったん静かになったかに見えても再び活発化する。捉えどころがなく、気象庁、地震調査委員会や多くの地震の専門家も長期化を懸念している。

 一方、心配な南海トラフ巨大地震との関連については、気象庁の南海トラフ地震評価検討会(平田直会長)が7日、大規模地震の発生可能性は「平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない」との分析結果をまとめた。平田会長は個人的な見解とした上で「ないと思っている」と述べたが、(30年以内に起きる確率は80%とされる巨大地震の)「発生の可能性が高い状態」としてこちらも警戒を求めている。

 これまでの群発地震の例では長期化するほど住民の負担や心身の疲労は大きくなり、行政の対応が重要になっている。十島村役場は鹿児島市にあり、現地からの報道によると記者会見した久保源一郎村長は3日、「地震は予測がつかない。先が見えていない」と険しい表情で語ったという。

 鹿児島県観光サイト「かごしまの旅」が「無垢の大自然と人の温もりに触れてみよう」と呼びかける十島村のトカラ列島。夏の訪れとともに毎年、列島の島々それぞれ特徴がある自然を楽しむ観光客が訪れる。

 十島村の3日更新の公式サイトは「6月21日以降トカラ列島で発生している群発地震の影響で、一部の民宿では宿泊客の受入れを見合わせています。今後来島を予定されている方は、宿泊先が確保できない場合には来島せず、延期するようお願いいたします」としている。島民・住民らは一日も早い地震活動の収束と静かな日々が戻ることを祈っている。

観光を呼びかける鹿児島県十島村の公式サイトのページ(鹿児島県十島村提供)
観光を呼びかける鹿児島県十島村の公式サイトのページ(鹿児島県十島村提供)
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