レビュー

ノーベル賞に値する業績とは

2007.10.09

 「過去のノーベル物理学賞の3分の1は、新しい実験装置、観測装置の開発によっている」。理化学研究所主催の「次世代スーパーコンピューティング・シンポジウム」(3日)で基調講演した岩崎洋一・筑波大学学長が語っていた。

 市販の実験装置、観測装置を使った研究はキャッチアップ型の研究なら通用するが、ノーベル賞を取るような研究成果は、新しい実験装置や観測装置によらないと難しい。フロントランナーになるには、新しい学術をつくるという高い目標を目指すことが重要、という話の流れの中での言葉だった。

 当サイトのサイエンティスト欄に前回登場の石川哲也・理化学研究所播磨研究所・放射光科学総合研究センター長も、同様な発言を繰り返ししていた。石川氏は、大型放射光施設SPring-8の開発経験をもとに、まだどこの国も造り上げていないX線自由電子レーザー装置の開発計画を立ち上げたプロジェクトリーダーである。

 これまでにない短い波長のレーザーを手にすることによって、必ず新しいサイエンスが拓かれる。新しい光が新しいサイエンスをつくることは歴史が証明している、というわけだ。

 8日、発表されたノーベル医学生理学賞の受賞者たちを見て、岩崎氏や石川氏の主張がまさに的を射たものだと感じる人も多いのではないだろうか。3人の研究者によってもたらされた「ノックアウトマウス」を実験材料、実験手法として研究を進める研究者が世界中にどれだけいるだろう。それによって生み出された論文の数、研究成果の量は?

 それを想像するだけでも、3人の研究者たちの業績の偉大さは、容易に理解できるのではないだろうか。

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