サイエンスポータル SciencePortal

コラム - ハイライト -

ユーザーが満足する総合検索システムを

国立国会図書館長、元京都大学 総長 長尾 真 氏

掲載日:2007年9月18日

JST情報事業50周年記念シンポジウム(2007年9月5日、科学技術振興機構 主催)特別講演から

国立国会図書館長、元京都大学 総長 長尾 真 氏

長尾 真 氏

 

これからは異なる分野のデータベースから関連する情報を取り出すことが、非常に重要になってくる。地球環境問題はこれからますます重要な課題になってくるが、一つの専門分野の技術力では解決できない。いろいろな技術分野、文科的な分野にわたる知識、情報も活用しないと地球環境問題は解決できない。そのためにも総合的に検索できるシステムの開発が必要。世界中のデータベースは膨大な数に上る。何千件、何万件と出てくるものの中から大事なものだけを選択的に取り出すことが必要になってくる。

また、特許にからむ図面などもうまく処理でき、引用している研究論文なども引き出せる総合的な検索システムにしていくのがこれからの方向の一つと考えられる。

新しい技術の開発、事業の開拓をしようとする場合、これまでどのようなことがやられているか徹底的に調べ、それを基に新しい展開を図ることが必須になる。博士課程の大学院生の研究テーマなどでも、いろいろなテーマを思いつくが、検索してみるとどこかで似たようなことをしていたり、あるいは完全に解決されているということがままある。そういうテーマを繰り返しやってもしようがない。新しいことをやらなければならないが、世界中に研究者はたくさんいる。ほかに気づいている人もたくさんいる可能性がある。世界中でこういうことを考えている人がいるのかいないのか、きちんと検索して、いなければ(初めて)これは自分でやる値打ちがある、ということになる。(特に)環境科学など、最先端のいろいろなことをやろうとすると、自分の専門分野と外れたところで、どのようなことが行われているか分からないと研究がうまくいかないということがあり得る。

現在の検索システムでは、自分が本当にほしいものが引っかかって来ないため、非常な不満やいらだちを感じることがある。多くのユーザーに満足してもらう検索システムを実現するには時間がかかると思うが、ほうっておくわけにはいかない。5年後、あるいは7年後にはそういう良いシステムが実現することを目指してスタートすることが必要ではないか。

国立国会図書館長、元京都大学 総長 長尾 真 氏
長尾 真 氏
(ながお まこと)

長尾 真(ながお まこと)氏のプロフィール
1936年生まれ、59年京都大学工学部電子工学科卒業、61年京都大学大学院修士課程修了、66年京都大学から工学博士号取得、73年京都大学教授、97年京都大学総長、2004年情報通信研究機構理事長、07年4月から現職。05年日本国際賞受賞。研究開発業績は、自然言語処理・画像処理、情報工学、知能情報学の多分野にわたる。日本科学技術情報センター(現・科学技術情報機構)との関連では、80年代前半に科学技術論文の日英・英日機械翻訳システム開発の中心となり、日本の機械翻訳を世界のトップレベルに引き上げる基盤をつくりあげた。

ページトップへ