日本語版


 研究活動の不正行為は、科学と社会の信頼関係を揺るがし、科学技術の健全な発展を阻害するといった憂慮すべき事態を生み出している。文部科学省では、今年度より大学などの研究機関で研究倫理教育を実施し、研究者倫理の向上を図ることを求めている。

 米国保健福祉省研究公正局(ORI)が教育を目的として製作したこの映像教材は、ドラマ仕立てで展開する場面の中で、研究不正に関して、さまざまな苦悩に直面する場面を体験できるシミュレーション教材だ。その日本語版を、科学技術振興機構(JST)が4月よりインターネットで公開した。

研究倫理を映像で学ぶ「THE LAB 研究不正を避けるために」
「THE LAB」のメインメニュー画面。登場人物の写真をクリックすると、選択した人物のストーリーが始まり、教材の本編を体験できる。なお、上の写真をクリックすると、まず導入映像画面に飛ぶ。その画面の上部メニューバー左端の「メニュー」の文字ををクリックすると、メインメニュー画面に移行する。

 

 舞台は大学の研究室。そこに、研究主宰者、ポスドク研究員、大学院生、大学の研究公正責任者の立場の異なる4人が登場する。映像を見る者は、4人の中から一人を選び、進行するストーリーの中で次々と立ち上がる問題に対して、自らの選択を下していく。そして、選択に応じて異なる顛末を疑似体験し、ときには時間を戻して選択を変えたりしながら、倫理的問題を認識し、「責任ある研究活動(RCR:Responsible Conduct of Research)」のための倫理的な意思決定能力を身につけていく。

大学の研究公正責任者ベス・リジリーのストーリーより
大学の研究公正責任者ベス・リジリーのストーリーより

ポスドクのハーディック・ラオのストーリーより
ポスドクのハーディック・ラオのストーリーより

 

 本教材は教育を目的として作成されたものであり、一人で体験するだけでなく、ワークショップ等でグループディスカッションの素材として活用するのも効果的だ。大学などの研究機関で研究倫理教育の充実を図る際の一教材として活用してほしい。JSTでは今後、説明会などを開き、具体的な学習方法を紹介していくことを予定している。